アルメデス王国へ帰還
それからしばらくセザール獣王国の王都ビザンチンに滞在した後、オレ達は転移でアルメデス王国の王都ギアラにある自宅に戻った。久しぶりに自宅だ。執事のエイジとメイド達が出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。伯爵様。」
「只今~。何か変わったことはない?」
「はい。特に変わったことはありませんが、伯爵様が購入された牛が子を産みました。」
「そう。」
エイジの言葉を聞いて、女性達は全員が裏庭の牛舎に走って行った。オレも、後からゆっくりと向かった。まだ生まれたばかりなのだろう。母乳を飲んでいた。少し離れた場所で、ローザ達がニコニコしながら見ている。
「ケン兄。あの子牛に名前つけて言い?」
「いいけど、メスかオスか分からないだろ?」
「絶対にメスよ。だって、可愛いもん。」
「ローザちゃん。どんな名前にするの?」
「ん~。ん~。・・・・・・・」
ローザが首をかしげて必死に考えている。そして、ニコニコしながら言った。
「ミミちゃんがいい!」
「ミミか~。可愛い名前だね。」
「ローザちゃん。どうしてミミちゃんなの?」
「右の耳が白で、左の耳が黒色でしょ? だから、ミミちゃんなの!」
「確かに、他の牛と違ってわかりやすいにゃ。」
「じゃあ、ミミちゃんで決まり! みんないいよね?」
「ああ、今日からお前はミミちゃんだ。」
オレが子牛の頭をなでると、子牛もなんとなく嬉しそうだった。
「明日は王城に報告に行くよ。今日はもう遅いから食事をして休もうか?」
「ヤッタ―! 夕飯にゃ!」
「私もお腹ペコペコよ。」
オレ達が食堂に行くとすでに料理の準備ができていた。何故か豪華だった。骨付き肉や珍しいフルーツなど、テーブルいっぱいに並べられている。
「エイジ。」
「はい。何でしょう。」
「エイジも2号達も全員で一緒に食べようよ。」
「畏まりました。」
その日はメイド達も一緒に全員で食事をした。メイド達は『創造主様』と一緒など恐れ多いと遠慮したが、オレの指示で一緒に食事をさせた。なんか、幸せだ。食事をした後、女性たちが風呂に入る。その後、オレがゆっくりと一人で風呂に入った。オレは風呂から出ると、彼女達の髪を一人一人乾かした。
「さあ、寝るよ。自分の部屋に行って!」
「分かったにゃ。」
翌朝、朝食を取った後、最初に隣のジミー公爵の屋敷を訪ねた。だが、すでにジミー公爵とクララは城に行った後だった。オレ達も城に急いだ。城に到着すると、すぐに応接室に通されしばらく待っていると、ジョナサン国王と王妃、ジミー公爵とクララが入ってきた。
「久しぶりだな。伯爵。」
「お久しぶりです。」
「お父様、お母様。お久しぶりです。」
「ミサキも元気そうね。ケンさんに可愛がってもらってるようね。」
ミサキは真っ赤な顔をして否定している。
「お母様。私とケンはそういう関係じゃないからね。」
「そうなの? ケンさんはたくさんの奥さんをもらったって思っていたのに。」
「王妃様。彼女達はパーティーメンバーですから。」
「なら、私がケン兄ちゃんのお嫁さんになる。お父様いいでしょ?」
クララが無邪気で可愛い。
「クララ! お前はまだ子どもじゃないか!」
「だって、お父様。ローザ姉ちゃんだって子どもだよ。」
すると、子ども扱いされたローザが反論した。
「クララちゃん。私はこれでも20歳なのよ。エルフだから子どもに見えるけどね。」
「そうなんだ~!」
ここで笑いが起こった。みんながクララの無邪気さを可愛く思っているのだ。
「ところで今日は何の用だ?」
「ええ。セザール王国の報告に来ました。」
「そうか。それで、セザール王国はどうだった?」
すると、ミサキが胸を張って言った。
「お父様。お父様はセザール王国のレオパルド国王に負けたんでしょ? でも、私がしっかり仇を取ったから。」
「なに? お前レオパルド国王に会ったのか?」
「会ったわよ。お父様が負けたことも聞いたわ。」
「ミサキ! お前、何か誤解しているだろう! あの頃、わしもジミーもまだ10歳と8歳のの子どもだったんだぞ! 勝てるわけがないだろう。」
「そうなんだ~。」
それから、セザール王国であった出来事を説明した。当然、『スネイクヘッド』を殲滅したことも、2人の魔族と出会ったことも話した。
「そうか~! 魔族がいたのか!」
するとジミー公爵が真剣な顔で言ってきた。
「兄上。この際、ケン殿に話してみてはいかがでしょう。」
「そうだな。」
「何かあるんですか?」
「実はな、この王都の北側にある街ノースタウンに新たなダンジョンが発見されたんだ。」
「ダンジョンですか?」
「そうなんだ。それでな、本来ならダンジョンから魔物達が出てくることはないのだが、そのダンジョンからは魔物が出てきてるんだ。」
「不自然ですね。以前ダンジョンに行ったときは、魔物達は粒子になって消えましたが。それはどうなんですか?」
「それが、消えないんだ。だから、もしかしたらと思ってな。」
「陛下もジミー公爵も、魔族が関係しているのではないかと疑っているんですね?」
「その通りだ。」
「ですが、なぜ魔族がそんなことをするんですか?」
すると、ジミー公爵が言った。
「ケン殿。もしかすると、魔族はこの国にスタンピードを起こすつもりではないでしょうか?」
「どうしてですか?」
「それはわからん。魔族が関係しているかどうかも憶測だしな。」
「わかりました。明日、向かいますよ。」
「そうか。行ってくれるか?」
「ええ。ついでですから。」
「ついでとはどういうことだ?」
「オリント共和国に行くつもりでしたから。」
「そうか。今度はオリント共和国に向かうのか。あそこは世界中で唯一議会政治を行っている国だからな。」
「そうですな。前国王のオスラがやりたい放題でしたからな。数年前に国民達による革命軍に倒されたのでしたな。」
その日は王城で昼食を頂いた後、街に出て旅の食料を大量に買い込んだ。そして翌日、王都からノースタウンに向かった。




