闇組織殲滅後の後始末
オレがビャッコさんの屋敷に戻ると、すでに全員が戻っていた。庭には大勢の『スネイクヘッド』のメンバーが縛られて座らされていた。
「遅かったにゃ。ケン。」
「ケン兄。誰も殺さなかったよ!」
「そうか。ローザ、偉いな。」
オレがローザの頭を撫でると、ミレイもミサキもドリエも全員が頭を差し出してきた。
「そうか、みんなも死人を出さなかったのか。偉いな!」
オレは全員の頭を撫でた。
「ケンはどうだったの?」
「ああ、一人だけ殺してしまったよ。」
「ケン様がですか?」
ドリエが目を丸くして驚いている。
「ああ、首領のティガは魔族だったんだ。なるべく殺さないようにとは思ったんだけど、やりすぎちゃったかな。」
「ケン兄。仕方ないよ。相手は魔族だったんでしょ?」
「そうだけどな。でも、魔族もオレ達も本来は同じ仲間だからさ。」
オレ達がそんな話をしているとビャッコさんがやって来た。
「ケンさん。ありがとうございました。これで、この街もこの国も救われます。」
「みんなが平和になれるなら良かったです。でも、こんなに大勢を収監できるんですか?」
「そうなんですよ。正直言って無理です。」
「なら、彼ら全員をオレの知り合いのところに連れて行ってもいいですか?」
「いいですけど。どうするんですか?」
「心から鍛えなおします。悪の心を取り除き、善の心を取り戻すことができるように働かせますよ。」
すると、隣にいたドリエが聞いてきた。
「ケン様。それってもしかして・・・」
「そうさ。ダンテさんにお願いするつもりだよ。」
「兄さんにですか?」
「こいつらはそれなりに強いからね。でも、竜人族のみんなに比べれば弱いだろ。だから、竜人の里で修行させるのさ。」
「さすがケン兄! 頭いい!」
「そうよね。竜人の里には帝国兵達が住んでた家が残ってるもんね。」
「そういうことさ。」
オレは『スネイクヘッド』のメンバー全員に『正義の輪』を発動した。そして、風魔法に乗せて全員に聞こえるように話した。
「聞くがいい。お前達の首にかかっている輪は、悪事を働いた場合にどんどん締まる。そして、お前達の首を切り落とすだろう。だが、善に目覚め、人の役に立つ行為をすればその輪がどんどん緩くなっていき、やがて外れることになる。死ぬも生きるもお前達次第だ。これから、お前達にはある村に行ってもらう。そこで、気持ちを入れ替えるがいいさ。」
「そんなこと信じられるか————! グエッ! く、く、苦しい!!」
馬鹿な男が一人、オレの言うことを信じないで首輪が締まってしまった。オレはその輪を緩めてやった。
「どうだ? これで信じる気になったか?」
男はすごい勢いで首を縦に振った。
「さあ、行こうか。」
『ゲート』
オレが魔法を発動すると、何もない空間に大きな穴が開いた。真っ黒な穴だ。無法者達は幹部連中も全員が恐怖した。
「お前何者だ?」
「オレ達は『ワールドジャスティス』だ。神により選ばれ、この世界を平和にする者達だ。オレ達に逆らうということは神に逆らうことになる。それをしっかり肝に銘ずるがいいさ。」
オレ達は無法者達を連れてゲートに入って行く。ゲートの先には竜人族の人達がいた。無法者達は恐怖で怯えている。魔族と竜人族はこの世界で最強の種族なのだ。オレに気付いたダンテさん達がやって来た。
「ケンさん。久しぶりです。ドリエも元気だったか?」
「はい。お兄様。」
「ダンテさん。お願いがあるんですが。」
「こいつらを鍛えなおせってことですよね?」
「そうです。心が悪に染まってるんですよ。だから、ここで修行させて欲しいんです。」
「わかりました。任せてください。ケンさん達の役に立てるなら嬉しいことです。」
「じゃあ、お願いしますよ。」
「はい。」
オレ達は無法者達をダンテさんに預けて、再びビャッコさんの屋敷に戻った。
「終わったにゃ。」
「そうね。すべて終わったわね。」
「ケン兄。疲れた~!」
「ケン様。私からも提案します。すこし、休みませんか?」
「そうだな。なら、1週間はこの街でゆっくり休むとしようか。」
「ヤッタ—————!」
全員がオレに抱きついてきた。ビャッコさんを見るとなぜか羨ましそうな顔をしている。それから、オレ達はビャッコさんや街の人達からよくしてもらって、楽しい日々を送った。ちょうど1週間経ったころ、オレ達はビャッコさんの屋敷に呼び出された。
「どうしたんですか? ビャッコさん。」
「急に呼び出してすみません。王城から連絡があり、是非レオパルド国王陛下がケン様達にお会いしたいとのことです。王都まで一緒に行っていただけないでしょうか?」
「いいですよ。」
「良かったです。では、明日早朝に出かけますので。」
オレ達は旅の準備をする。準備と言っても食料品を買うだけだ。市場に行って肉類を中心に購入した。そして、その日は亜空間の家に帰り、それぞれの部屋でくつろいだ。ここ最近、オレが一人で寝ていると隣にリンがいることがある。いつも一人で寂しいのだろう。そうして翌朝、オレ達はビャッコさんの用意してくれた馬車で王都に向かった。
「ビャッコさん。聞いていいですか?」
「何でしょう。」
「王都ってどんなところですか?」
「言っていませんでしたね。我が国の王都はビザンチンと言います。元々は獅子耳族の街だったのですが、現在ではあらゆる種族の獣人族が暮らしています。人口も多く、とても賑やかですよ。」
「レオパルド国王陛下ってどんな人です?」
「陛下は獅子耳族です。どの種族にも分け隔てなく優しい方ですよ。ただ、戦闘好きで騎士団長は困っているようですけどね。」
「強いんですか?」
「はい。獣人族の中では1番強いんじゃないですか?」
「なんか嫌な予感がするんだけど。」
「どうしてですか?」
「戦闘好きの人って、大抵は強いと噂になった人に戦いを挑むんですよね~。」
みんなが一斉にオレを見てきた。
「ケン兄。王様なんだから怪我させちゃだめだよ。」
ローザの言葉でビャッコさんの顔色が変わった。
「ケンさん。お願いですから、陛下に怪我をさせないでくださいね。」
「オレは戦いませんよ。」
オレがミレイ達を見ると、全員の目が輝いている。忘れていたが、うちの女性達も戦闘好きだった。




