2つ目のオーブ発見
睡眠中に神界に呼ばれ、エリーヌ様からの依頼を受けた。オレは目が覚めると、すでに朝になっていたようで、隣で寝ていたはずのミサキとドリエがオレの顔を覗き込んでいた。
「ケン。あなたの身体が光ったんだけど大丈夫?」
「大丈夫だよ。ミサキもドリエも早起きだね。」
「ケン様に寝顔を見られたくなかったですから。」
思わずドリエとミサキの頭をなでてしまった。
「さあ、起きて食堂に行こうか?」
「うん。」
オレ達が食堂に行くと、ミレイとローザも来ていた。みんなで一緒に食事をした後、新しく発見された古代遺跡に向かった。
「新しく発見された古代遺跡と、前からある古代遺跡は何か関係があるのかにゃ?」
「どうしてそう思ったの?」
「距離が近いにゃ。」
「ミレイ。良い線言ってると思うよ。」
「ケンに褒められたにゃ。」
「やっぱり関係があるの? ケン兄?」
「多分ね。開かずの扉を開けてみれば答えが出るんじゃないかな。」
「なんかワクワクしてきたわ。」
「ミサキ姉は王女様とは思えないよ。」
「いいの。ローザちゃん。今の私は冒険者なんだから。」
ドリエがみんなの会話を聞いてクスクス笑ってる。街を出てしばらく行くと、冒険者の数が増えてきた。すると、少し先から土煙が上がった。誰かが、爆破系の魔法を放ったのだろう。オレ達は急いでいくことにした。
「ケン。あいつらはなんなんにゃ?」
見ると人型をした岩の塊が冒険者達と交戦している。冒険者達の方がはるかに数が多いのだが、剣が役に立たないようだ。1人また1人と地面に倒れる。
“リン。あれはなんだ?”
“ゴーレムです。この遺跡を守っているのでしょう。”
“どうすれば倒せる?”
“核を破壊してください。”
“核はどこにあるんだ?”
“頭か胸のどちらかにあると思われます。”
“わかった。”
「みんな、最初に頭を狙え。それでもだめなら胸を攻撃するように。」
「了解にゃ。」
「わかったわ。」
オレ達は戦っている冒険者達の前に出て、全員でゴーレムに攻撃を仕掛けた。
「おい! 彼らは昨日ギルドにいた『ワールドジャスティス』じゃないのか?」
「間違いないぜ! 俺達も戦うぜ!」
「オオ—————」
ミレイが新しい剣に炎の魔法を付与した。剣からすさまじい勢いで炎が噴き出している。その剣で、ゴーレムに切りかかった。さすがに、岩のゴーレムを切り裂くことはできないが、剣の当たった場所がドロドロになっている。
「こいつ硬いにゃ! これならどうにゃ!」
さらに剣に魔力を注ぎ込んだ。すると、剣から炎のドラゴンが大きな口を開けてゴーレムに襲い掛かる。ドラゴンがゴーレムを飲み込むと、ゴーレムはマグマのように溶けだした。
「あったにゃ!」
溶けだしたゴーレムの頭の部分に、光る核を見つけた。ミレイは大きくジャンプして、剣で核を砕いた。
「みんな~! 核は頭にあるにゃ!」
「了解よ!」
ローザはミレイの言葉を聞いてそれまでと戦い方を変えた。頭に集中的に攻撃するとこにしたのだ。だが、頭を狙った矢の攻撃もことごとくゴーレムに防がれてしまう。そこで、魔法攻撃に切り替えることにした。
『アイスパーフェクト』
この魔法は対象物を完全に凍らせてしまう絶対零度の攻撃だ。ゴーレムの腕と頭が動かなくなった。
「これで終わりよ。」
完全に凍った頭に向かって、矢を放った。矢は巨大化してゴーレムの頭を打ちぬいた。ゴーレムの頭が核とともに粉々に砕け散る。
「あ~あ、疲れた。」
ミサキは光魔法『シャイニングビーム』でゴーレムの頭を吹き飛ばし、ドリエは雷魔法の効かないゴーレムに竜化して頭をかみ砕いた。オレは、重力魔法『グラビティー』で動けないようにして、剣で頭の核を砕いた。
「終わったね。」
「うん。」
周りの冒険者達が大きな声でオレ達を讃えている。その中には、この街に入る時に声をかけてきた狼耳族の冒険者達もいた。
「さすがだぜ! 『ワールドジャスティス』って最強じゃね?!」
「ワールドジャスティス、バンザーイ! バンザーイ!」
その後、新しく発見された古代遺跡の中に入った。丸みを帯びた太い柱が何本も立ち、何か神殿のような作りになっている。中に進むと、様々な石像が並んでいる。獣人族が神としてあがめた存在なのだろう。どの像も獣人族の姿をしていた。そして、最奥の部屋に到着すると、数人の冒険者達が大きな扉の前で座っていた。
「兄ちゃん達。この扉は開かねぇぜ。」
「そうなんですか?」
「ケン兄。どうする?」
「壊すのが早いにゃ!」
オレ達の後ろからぞろぞろついてきた冒険者達も興味津々だ。オレは自分の内なる意識に語り掛けた。そして、内なる声に導かれるままに行動する。
「みんなそこをどいてくれますか?」
オレの言葉で冒険者達は扉の前を開けてくれた。オレの方を興味深く見ている。オレは扉に手をかけ、少しだけ気を解放した。オレの全身から神々しい光が溢れ出る。そして、次の瞬間、何をしても開かなかった扉がゆっくりと開き始めた。
「オオ——————!」
「扉が開いていくぞ!」
「おい、奇跡だ!」
「開くぞ————!」
扉は完全に開かれた。そして扉の先には通路があった。
「みんな。行くよ。」
「うん。」
通路を歩き始めると、通路にかけてあるランタンに自然に明かりがともされていく。まるで、主の帰還を祝福しているかのようだ。そして、通路の先には大きな部屋があった。そこは神々しいまでの光に満たされた部屋だった。エリーヌ様の像が立ち、その前には強大な祭壇があった。そして、その祭壇の上の箱から光が出ている。
「ケン。何かしら?」
「光のオーブだよ。」
「そうなの?」
「見つけましたね。ケン様。」
「ああ。」
オレがその箱に手をかけると、光は強くなり、辺り一面を眩しく優しい光が包み込んだ。後ろにいる冒険者達も、なぜか感動の涙を流している。オレは、そのオーブをゆっくりと手に取り空間収納にしまった。
「ところで、ケン。ここはどこにゃ?」
「古い方の古代遺跡の地下さ。出てみればわかるよ。」
全員が遺跡の外に出た。すると、古い方の古代遺跡の祭壇の裏に出た。
「この2つの神殿は本来一つだったんだ。けど、大昔に戦争があって、そのほとんどが埋まってしまったのさ。」
「どうしてケンが知ってるにゃ?」
ミレイに言われて気付いた。なぜオレが知っているんだろう。そんな大昔のことを。しかも異世界のことをオレが知ってるはずがない。すると、リンが教えてくれた。
“マスターの意識がこの世界の太古に行ったんだと思います。”
“なるほど、納得だよ。さっき意識を集中した時に、この世界に何が起こったのかが見えたからね。”
オレ達は古代遺跡を出て街まで戻った。




