最高神エリーヌ様からの依頼
オーブを探しに古代遺跡のある街ブタイへとやって来たオレ達一行は、情報収集のため冒険者ギルドを訪ねたが、酔っ払いの冒険者に絡まれた。相手にしないようにしたが、冒険者がローザの手を掴んだ瞬間、オレの感情が爆発しそうになった。ギルド内は大パニックに陥っている。
「何事なの? 静まりなさい!」
ギルマスの大きな声で、オレは冷静さを取り戻した。オレのオーラが消え、ギルド内に張りつめていた緊張が一気に解放された。そして、ギルマスがオレのところに来た。
「君が原因か?」
すると、受付の女性がギルマスに言った。
「この方は悪くないんです。冒険者のガンツが彼女達を無理やり連れて行こうとして・・・」
「なるほど、それで彼が怒ったってことか。だが、君は只者じゃないよな。カードを見せてくれるかい?」
オレはギルマスにカードを見せた。すると、ギルマスの顔がどんどん変化していく。
「君がSSSランクのケンなのか? すると彼女達は『ワールドジャスティス』のメンバーってことかな?」
ギルマスの言葉を聞いて、会場内に驚きの声が上がった。
「おい、聞いたか?」
「『ワールドジャスティス』っていえばSランクパーティーだよな。」
「あいつ、SSSランクだってよ! ガンツも馬鹿な奴だぜ! SSSランクにケンカ売ったって勝てっこねぇのにな!」
「ケン。私の部屋に来てくれないか? 話があるんだ!」
「いいですよ。」
オレはミレイ達と一緒にギルマスの部屋に行った。ギルマスの部屋は広かったが、机の上には書類が山積みされていた。
「何かオレに用でもあるんですか?」
「まあな。この街に新たに古代遺跡が発掘されたのは知っているだろう?」
「はい。」
「その遺跡の中でどうしても開かないと扉があるんだ。何人もが挑戦したが、ビクともしないんだ。」
「オレ達にその扉をなんとかしろってことですか?」
「ああ、そうだ。その扉が部屋の扉なのか、新たな通路の扉なのか気になってな。」
「いいですよ。」
「言い忘れていたが、私はこのギルドのマスターをしているジャスティンだ。よろしくな。」
オレ達は、受付の女性に書いてもらった地図を見ながら宿屋に向かった。宿はかなり古いが、それぞれの部屋はそれなりに広かった。しかも、この宿は街の外れにあるので他の冒険者も少ない。それだけに静かだった。
「ケンの部屋って一人で使うには大きいよね。」
「ケン兄。私が一緒に寝てあげようか?」
「ローザ! 抜け駆けはダメにゃ!」
「この前順番を決めたじゃないの?」
「なんの順番?」
「決まってるじゃない。ケンと一緒に寝る順番よ!」
「そうなの?」
「今日は、私とドリエの番よ。」
「今日はダメだよ。ベッドが小さいじゃないか?」
「大丈夫よ。いいでしょ? ねっ?」
ミサキのおねだりポーズが出た。上目遣いで胸をちらつかせるのだ。
「しょうがないな。」
「ヤッタ—!」
ミサキはドリエの手を掴んで喜んでいる。
その日、久しぶりにオレは3人で寝た。ミレイとローザと3人で寝てた頃を思い出す。ミレイほどではないが、ミサキもそれなりに胸が大きい。オレの手に柔らかい感触があたる。やはりゆっくり寝れないと思いつつも、目を閉じていると知らないうちに寝てしまった。
「ここどこだろう?」
気付くと真っ白な空間にいた。だが、創造神様と会った場所とは雰囲気が違う。足元を見ると、色とりどりの花が咲いていた。空間の奥には真っ白な神殿のような建物があった。
「ここは神界ですよ。マスター。」
声のする方を振り向くと、少女の姿のリンがいた。
「神界にどうして?」
すると、神殿の方から光り輝く存在が近づいてくる。
「ケン。よく来ましたね。」
「お母さん? でも、そんなはずないよな~。」
目の前に現れた女性は、地球にいたときの母親と同じ姿をしていたのだ。
「あら、嬉しいわね。でも、あなたのお母さんはまだ生きてらっしゃるわよ。私はこの世界を管理するエリーヌです。」
「エリーヌ様がどうして?」
「疑問に思うのも当然よね。あなたにお願いがあって来てもらったの。」
「お願いですか?」
「そうよ。この世界の平和を維持するためにオーブがあるのは、そこにいるナルーシャから聞いているわよね。」
「はい。」
「どうやら、神の誰かがそのオーブを狙っているのよ。そこで、あなたにオーブを回収して欲しいの。」
「そのつもりでしたけど。ただ、場所が特定できないんで大変なんです。」
「そうね。でも、あなたなら場所の特定もできるんじゃない?」
「何か方法があるんですか?」
「あなた、ガイア様に封印を解除してもらってでしょ? どうしてその力を使わないの?」
「使いたくても、どう使っていいかわかりませんから。」
「しょうがないわね。ナルーシャもナルーシャよ。どうして教えないの? あなたの役目はケンの修行の手助けでしょ?」
「エリーヌ様。お言葉ですが、ケン様は本来の力を使わなくても十分成長しています。」
「確かにそうかもしれないわね。でも、すべての力を使う必要もないでしょ。その都度必要な力を教えればいいんじゃないの。」
ここでオレは、今まで疑問に思っていたことをエリーヌ様に聞いた。
「エリーヌ様。オレは何者なんですか? 地球で普通に学生をしていて、突然死んでこの世界に来ましたけど、他の人達よりも能力が高いんです。」
「あなた、転生する前に修行したでしょ。他の人よりも能力が高いのは当たり前よ。」
「でも、リンがオレの指導役とか、なんか意味が分かりません。」
「そうね。なら、今言えるのは一つだけね。あなたは修行中なのよ。能力的には神と同等の力を持っているけど、あくまでも人間だから、神人ってことかしらね。」
エリーヌ様が笑ってごまかしている。恐らくこれ以上聞いても無駄なんだろう。
「分かりました。地上世界の平和はオレが何とかします。ですので、その不届きな神の方はエリーヌ様にお願いします。いいですよね。」
「だめよ。あなたの修行は、この世界を平和にすることよ。なら、この世界の神界も平和にしなくちゃ。」
「それって、オレに神の討伐をしろってことですか? 無理ですよ。」
「最悪討伐することになるでしょうけど、考えを変えさせることができれば一番いいわね。」
「余計無理じゃないですか? オレが神に説教できるわけないですよ。」
「今のあなたには無理よね。だから、修行するんでしょ。早くガイア様の・・・」
最後の方がよく聞こえなかった。もしかしたら、聞こえなくされたのかもしれない。
「分かりました。それで、オーブの場所の見つけ方ですけど。」
「ケン。集中して自分の内側に入って見なさい。」
オレはエリーヌ様に言われた通り、気持ちを落ち着かせようと深呼吸した。そして、意識を自分の心臓のある胸のあたりに集中した。すると、そこに強大な光の玉があった。それは、神々しく七色以上の色を放っている。その玉から漏れ出る光がオレの全身を駆け巡る。何と幸せな気持ちなんだろう。すべてを超越し、慈愛に満ちたものが湧き上がってきた。
「成功したようね。これで、オーブの場所も分かるわよ。頭の中に描かれるマップに表示されるわ。」
「ありがとうございました。エリーヌ様。」
「頼んだわよ。ケン。」
「はい。」




