古代遺跡の街ブタイ
オーブの秘密を知り、オーブを探すために古代遺跡のある街ブタイへと向かうことになったケン達一行は、いろいろなことを話しながら街道を歩いていた。
「さすがに人族が少なくなってきたわね。ケン。」
「そうだね。エルフ族もいないよ。」
「ケン兄。エルフ族は基本的に村から出ることがないよ。」
「でも、アルメデス王国にはいたよな。」
「どうしても必要な時は里を出ることもあるけど。」
「そうなんだ。」
「ケン様。竜人族も同じですよ。基本的に里から出ることはありません。」
「そうだよな~。」
「でも、オレはすべての種族が、仲良くみんなで交流しながら暮らす方がいいと思うけどな。」
「そうなったら楽しそうにゃ。」
「異なる種族間で結婚するようになれば、新たな種族が生まれるかもしれないわね。」
「ケン兄と私が最初かも。」
「ローザ! ケンは最初に出会った僕の夫になるにゃ。」
「違うわよ。ケンはみんなのものよ。ねっ! ドリエちゃん!」
「は、はい。私もケン様と結婚したいです。」
「みんなありがとう。でも、オレにはまだその気がないから。それより、そろそろブタイの街が見えてくるよ。」
この世界に来て、アニメで見たような城壁をあまり見たことがない。だが、この街は5mぐらいの高さに石が積み上げられた城壁で囲まれていた。
「ケン。あの列に並ぶにゃ。」
獣人族が長い列を作っていた。中には人族もいる。意外に多いのが冒険者のような人達だ。
「なんかあるのかな? 冒険者のような人達が多い気がする。」
オレ達が後ろで並んでいると、狼耳族の冒険者風の男達が声をかけてきた。
「お前達も冒険者か?」
「ええ。そうですよ。」
「なんかお子ちゃまの集まりだな。そんなんで新しく発見された遺跡に行くつもりなのか?」
ローザが可愛い仕草をしながら聞いた。
「おじさん。新しい遺跡が発見されたの?」
「お嬢ちゃん。知らなかったのか? それを目的に来たんじゃないのか?」
「違うにゃ。でも、おじさんの情報は役に立ったにゃ。ありがとうにゃ。」
「なら、今日の夜オレに付き合わねぇか?」
「それはないにゃ。私達にはケンがいるにゃ。」
突然、オレの名前が出たことに少し焦った。冒険者達がオレを見てニヤニヤしている。
「そんな女みたいな顔をした男のどこがいいんだ。オレ達と付き合えよ!」
久しぶりに禁句を聞いた。焦ったのはミレイだ。また、オレが我を忘れて怒りだすのではないかとヒヤヒヤしている。
「大丈夫だよ。ミレイ。オレも大人になったから。」
「良かったにゃ。もう、あんな恐怖は嫌にゃ。」
「なになに? ケンが怒ったことあるの? 教えてミレイ!」
ミサキが興味津々に聞いている。
「ケンは『可愛い顔』とか『女みたい』とか言われるのが嫌なのにゃ。」
「えっ?! どうして? だって、ケンは美男子じゃない。めちゃくちゃ奇麗な顔してるよ。」
「私もそう思う。ケン兄はエルフの誰よりも奇麗だし、かっこいいよ。」
「私もケン様を始めてみた時、一目惚れでしたから。」
「みんな、ありがとう。以前、顔のことで嫌な思いをしたからね。でも、もう気にしないから大丈夫だよ。」
オレ達の様子を見て、狼耳族の冒険者達は何も言わなくなった。きっと、根から悪い人達ではなさそうだ。そして、やっとブタイの街に入ることができた。最初に宿を探すことにした。
「ケン、亜空間の家に泊まらないの?」
「いろんな情報が欲しいからね。」
オレ達は宿を探したが、3部屋とれる宿は見つからなかった。そこで、冒険者ギルドに行くことにした。
「ケン。宿はどうすの?」
「ギルドで聞いてみるさ。それに、遺跡の場所も知りたいしね。」
「ケン兄。宿が見つからなかったら亜空間の家に行くんだよね。」
「まあね。」
「そしたら、2人ずつ交代でケン兄と寝るのはダメ?」
みんながローザの言葉に耳を傾ける。
「たまにならいいよ。」
「ヨッシャー!」
なんかミサキが一番喜んでいる。後ろで控えめにドリエがガッツポーズをしているのをオレは見逃さなかった。冒険者ギルドの近くになると、ガタイのいい冒険者やビキニアーマーの女性冒険者、珍しいドワーフの冒険者、杖を持った魔法使い風の冒険者などを見かけるようになった。
「ねぇ? ケン?」
「なに?」
「この国に『ワールドジャスティス』は知られてるのかな?」
「どうして?」
「国が違うから。」
すると、ミレイが教えてくれた。
「各国でギルドの情報は共有されるにゃ。多分どこに行っても有名にゃ。」
「そうなんですね。」
ドリエの竜人の里にはギルドがないので不思議なのだろう。そんな話をしているとギルドに着いた。中に入ると相変わらず酒臭い。夕方とあってか男も女もすでに飲んでいる。オレ達が中に入ると、一瞬注目されたがすぐに平常に戻った。
「すみません。聞きたいんですけど。」
「なにかしら?」
受付は犬耳族の女性だ。
「この街の宿を知りたいんですけど。どこもいっぱいなんで。」
「新しい遺跡が発見されたから、冒険者が多いのよ。そうね~、少し離れてるけどいい?」
「ええ、大丈夫ですよ。」
「なら、地図を書いてあげるわね。」
「ありがとうございます。」
「あなた礼儀正しいのね。なんか気に入ったわ。顔もきれいだし。あなただけなら、今日うちに泊まってもいいわよ。」
「いいえ。みんなで泊まれるところがいいんですよ。」
「そう。残念ね。あなた達も、古代遺跡に行くんでしょ。なら、ついでにそこまでの地図も書いてあげるわね。」
「ありがとうございます。」
さすがに、男1人に女4人のパーティーは珍しいらしく、男性冒険者が睨んでいた。すると、人族の男性冒険者が声をかけてきた。
「おい。色男。ちょっとばっかし、姉ちゃん達を貸してくんねぇか?」
「私達、あんたのような男には興味ないにゃ。」
「いいじゃねぇか! こっちに来いよ!」
男性冒険者がローザの手を引いて連れて行こうとした。
「やめて! 触らないでよ!」
それでも男は引き下がろうとしない。ミサキの顔が引きつっている。多分、まずいと思ったのだろう。その予想通り、オレの身体から眩しいオーラが溢れだした。
「な、なんだ?」
ギルドの中の壁や天井が軋む音を立て始めた。
「ビシッ、ギシッ」
オレからあふれるオーラがどんどん強くなっていく。ローザの手を掴んでいた男は、床に転んで失禁してしまった。他の冒険者達も椅子から転げ落ちた。そしてギルドの2Fからギルマスらしき虎耳族の女性が降りてきた。
ケン兄! 最近、少食だね!
ケンは、今、減量中にゃ!
ケン様~! 焼肉食べたいです~!
ゴクリ!!!




