エルフの里に向けて出発
ドリエが初めて亜空間の家に来たので、ドリエの部屋も用意して全員で亜空間の家に泊まった。そして翌朝、オレはみんなに言った。
「今日はドルトンさんのところに行くよ。ドリエの武器を手に入れたらすぐに出発するから。」
「わかったにゃ。」
「了解。」
オレ達は、朝食を取った後、ドルトンの家を訪ねた。ところが、家が無くなっていて、跡地には大きな工場が建っていた。
「ドルトンさんの家がないよ。ケン。」
「工場で聞いてみようか?」
オレ達が工場に行くと受付があり、女性が対応してくれた。
「ドルトンさんって知りませんか?」
「ああ、工場長ですね。少しお待ちください。」
中を見渡すと従業員が大勢いる。そして、ウォシュレットを流れ作業で作っていた。すると、受付の女性の後ろから髭を生やしたドワーフの男性がやって来た。
「ケンじゃないか? 帰ってきたのか?」
「ええ、またすぐに出かけますけど。」
「相変わらず忙しそうだな。」
「はい。それよりウォシュレットの製作に成功したんですね。」
「まあな。ジミー公爵も国王陛下も大喜びだ。」
「それにしても、この工場は凄いですね。」
「ケンが言った通り、国営工場を作ってもらったからな。ウォシュレットの方は人に任せて、俺は今、ジェットバスの開発をしてるんだ!」
「良かったです。」
「これもケンのおかげだな。」
「そんなことないですよ。ドルトンさんの技術があればこそです。」
「そうか~?」
ドルトンはニコニコして喜んでいた。
「ところで、ドルトンさん。頼みがあるんですけど。」
「また何か新しいものを作れってことじゃないだろうな?」
なんかドルトンが楽しそうだ。
「違いますよ。ここにいるドリエの剣を作ってもらいたいんです。」
「悪いな。ケン。俺はもう武器は作らないんだ。だが、1本だけ残ってる剣があるから、それでよければ譲るぞ!」
「見せてもらっていいですか?」
ドルトンは工場の裏口から出て行った。どうやら自宅があるようだ。しばらくして、手に1本の剣を持って帰ってきた。
「これだけどな。」
「凄いじゃないですか。ドルトンさん。これってミスリル製ですよね?」
「ああ、そうだ。手持ちの最後の1本さ。」
「いいんですか?」
「ああ。ケンには世話になってるからな。」
「こちらの方が世話になってますよ。」
オレはドルトンから受け取った剣をドリエに渡した。すると、剣がドリエに共鳴するように光り始めた。
「どうやら、この剣も主が見つかって喜んでるようだな。」
ドリエが真っ赤な顔をしてお礼を言った。
「ドルトン様。ありがとうございます。大切に使います。」
「ああ。正義のために使ってくれよ。」
「はい。」
オレ達はドルトンの工場を後にして、いよいよエルフの里に向かって出発することにした。出発早々、不思議そうな顔をしてドリエが聞いてきた。
「徒歩で行くんですか?」
「そうだにゃ。」
「飛んでいかないんですか?」
「ドリエちゃん。人族やエルフ族、獣人族は飛べないのよ。」
「そうなんですね。」
「でも、みんな走るのは早いよ。ドリエ姉。」
「急ぐ旅じゃないから、今回は走らないよ。ローザ。」
オレ達は馬車を使わずに、ゆっくりと見物がてら徒歩で行くことにした。国境までは約1ヶ月かかる。だが、いろんな街を見物しながら歩くのも楽しい。街道の途中で暗くなったときは、オレの亜空間の家に泊まり、村や街で暗くなったときは宿屋に泊まるようにした。
「ミサキ姉。どこの街も平和だね~。」
「ジミー公爵が頑張ったからね。でも、森や湖があるところには魔物がいるわよ。」
「ケン様。今のところ強そうな魔物はいませんが、どんな魔物がいるんですか?」
すると、オレの代わりにミレイが答える。
「ゴブリンやオークがいるにゃ。たまに、オーガやウルフ系の魔物もいるにゃ。」
「そうなんですね。皆さんなら余裕じゃないんですか?」
「まあね。それに、ケンもいるしね。」
「ミサキ! 次の街イサワってどんな街か知ってるか?」
「温泉の街よ。肩こりや腰痛にいいらしいよ。」
「楽しみにゃ! みんな急ぐにゃ!」
温泉と聞いてミレイの目が変わった。やはり女性は温泉が好きなようだ。オレ達はイサワの街に急いだ。




