帝国との決戦(2)
皇帝ブルータスも出陣し、オレ達とダンテさん達竜人族の連合軍が帝国軍と激突することになった。
「ダンテさん。オレが合図するから、そしたら竜化して飛行艇をお願い。」
「了解です。」
「さて、魔法を発動するよ。」
オレは両手をあげ、魔力を解放して魔法を発動した。
『メタルメルトレイン』
すると、晴れ渡っていた上空に黒い雲がかかり始め、大粒の黒い雨が降り始めた。
「皇帝陛下。黒い雨です。」
「そうか。いよいよか。だが、こちらも準備万端だ。兵士達に前進しながら敵を探すように指示しろ。見つけ次第、一人残らず撃ち殺せ!」
「ハッ」
帝国軍10万人が少しずつ前進してくる。
“リン。どうだ? 砲弾の方は?”
“そろそろよろしいかと思います。”
“よし。ならば、作戦実行だ!”
オレはダンテさんに合図を送った。
「ミレイ、ローザ、ミサキ。いいか。自分達の身が危うくなったら遠慮はいらないから。兵士達を殺してもオレは怒らないから。とにかく気を付けて行ってくれ。」
「いざとなったら、指輪で呼ぶね。すぐに駆け付けてきてね。ケン。」
「当然だ! じゃあ頼んだぞ!」
「了解にゃ!」
オレは皇帝ブルータスを探した。上空では、ドラゴン化したダンテさん達が飛行艇に炎のブレスで攻撃を仕掛けている。
「ザハト侯爵はいるか?」
「お呼びでしょうか?」
「なぜ、高射砲を撃たぬのだ!」
すると、そこに兵士が慌ててやってきた。
「ご報告です。」
「如何した?」
「先ほどの雨で、兵士達の銃の弾も高射砲の砲弾も全て溶けてしまいました。」
「何だと~!」
「ザハト侯爵! どういうことだ? 本体のコーティングしかしていないのか?」
「申し訳ございません!」
「愚か者!」
ブルータス皇帝は、ザハト侯爵の頭を持っている木の鞭で思い切り叩いた。ザハト侯爵の額に血が流れる。
「ゲイリー公爵! 捕虜をここに連れてまいれ!」
「ハッ」
ゲイリー公爵がしばらくして捕虜のドラクとドリエを連れてきた。ブルータス皇帝は、2人を十字架に張り付け、目立つように屋敷の屋根に取り付けさせた。そして、大型の拡声器のようなものを使って言った。
「見るがよい。この者達の命が惜しくば、わが軍門に下るがよい! さあ、どうする?」
「パキュ———ン」
「キャー」
皇帝ブルータスは2人を狙って銃を撃った。弾が妹ドリエの足に命中する。ドリエの足からは血が流れだした。
「おのれ————! 許さん! 許さんぞ! ブルータス!」
我慢できなくなったダンテさんがブルータスめがけて飛んでいく。オレは瞬間移動でダンテさんの前に出た。
「ダンテさん! 待って! これは罠だ!」
「だが、ケン様。このままでは妹も父上も殺されてしまいます。」
ミレイ、ローザ、ミサキは兵士達を無力化しながら順調に高射砲を回収していた。だが、騒ぎで手を止め、屋敷に掲げられた十字架の方を見ている。
「オレが助けます。ここで待っていてください。」
オレは瞬間移動で十字架にかけられた2人のところまで転移した。そして、2人を解放しようとしていると、屋敷内にいた兵士達が一斉に銃を放った。オレは物理結界を張っているので銃の弾はすべてはじき返す。それを見て、ブルータス皇帝はにやりと笑い、オレに一言言った。
「普通の弾は効かぬようだな。だが、これは防げまい。これが、わが国が誇る最新兵器、すべてを粒子に変える『量子破壊砲』だ! 受けてみよ!」
屋敷の奥から現れた大型のレーザー銃。リンが大声で叫んだ。
“マスター! 逃げてください! あれはマスターでも防げません! 早く逃げて!”
皇帝ブルータスが引き金を引いた。次の瞬間、レーザー銃から七色の巨大な光が放たれ、オレは結界もろとも消滅した。
「ケン様————!」
「ケ—————ン!」
オレが消滅するのを見て、ミレイ、ミサキ、ローザが戦闘中であることも忘れて、その場に座り込んでしまった。上空から見ていた竜人族達が、3人を連れてその場を飛び去った。
☆☆☆☆☆
その頃、オレは再び真っ白な空間の中に一人でいた。
“もしかして、ここはオレが最初にいた場所か? オレ死んだのかな?”
途方に暮れていると、そこに以前と同じ老人がやってきた。
「まあ、見事に殺されたな。人質に怪我をさせまいとした結果だから、仕方がないがの~。」
「やっぱりまた死んだんですね。」
「ああ、そうじゃ。どうじゃ魔法の使える世界は? 楽しかったじゃろう。」
「まあ、それなりに。それよりもこの後どうなるんですか? オレは今回の世界が気になるんですけど。」
「そうだな。可愛い子が3人もいたからな。」
「冗談はやめてください。このままだと皇帝ブルータスに世界がめちゃくちゃにされてしまんですよ。」
「変わったの~! ケン! 人々のために自分を犠牲にするようになったか。よかった、よかった。」
「お願いです。あの世界に戻してくれませんか?」
「わかった。わかった。それでじゃ。ケン。お主にちょっと頼みたいことがあっての~。」
「何でしょう?」
「どうやら、あの世界を管理しているエリーヌを妬んでおる神がおるようなんじゃ。そやつを改心させてほしいんじゃよ。」
「オレが神をですか?」
「そうじゃ。この際だから、お主の封印もすべて取り除こう。どうじゃ? やってくれるか?」
「封印? オレに封印がされてたんですか?」
「そうじゃよ。ダンジョンで封印が『少しだけ』解除されただろう。」
「確かに指輪をはめた途端、体中に力がこみ上げてきましたけど。でも、あれで『少しだけ』なんですか?」
「まあそうじゃな。本来の力の1部だけじゃな。オレは何者なんですか?」
「お主はお主だ。」
「それじゃあ、答えになっていませんよ。」
「では、準備はいいな?」
「えっ?! まだ、教えてもらってませんよ!」
「もう目立ってもよいからな。それと、くれぐれもあの世界のことを頼んだぞ!」
☆☆☆☆☆
その頃、竜人族に連れられて避難したミレイ、ローザ、ミサキは、ケンを失った悲しみで憔悴しきっていた。
「ミレイ様、ローザ様、ミサキ様。少しだけでも食べてください。」
「食欲ないから。」
「でも、あのケン様が本当に死んだんでしょうか? 私には信じられませんが。」
「ダンテさんだって見たでしょ! ケンが粒子になって消えるのを!」
「確かにそうですが、ですが・・・・」
「ワ————ン!!! ケン兄——————!!!」
「ケン・・・」
今日も出張にゃ!
どこに行くの? ケン兄!
なんかローメンが美味しいらしいぞ!
絶対食べるにゃ!




