戦車部隊掃討戦
オレ達はペロンの街の戦車が置いてある施設に潜入した。今、オレの目の前には、地球の戦争映画にでてくるような戦車がずらりと並んでいる。すでに、すべての車両にコーティングが終了しているようだ。戦車を警備する兵士達が、オレに向かって発砲してきた。だが、オレの体全体に張られたシールドにすべて弾かれる。
「おい、あいつに銃が通用しないぞ。どういうことだ?」
「撃て———!」
「バン、バン、バン」
オレは剣を抜いて兵士達に切りかかった。兵士達の目には見えないだろう。オレは兵士達の足を切り付けていく。
「ギャー」
「バケモンだー!!!」
片足を失った兵士達は地面を転げまわっている。
「人のことをバケモン呼ばわりはひどいじゃないか!」
“ミレイ、ローザ、ミサキ。そっちはどうだ?”
“ケン兄。こっちは終了よ。”
“ケン。私も終わったわ。”
“ミレイ! そっちはどうだ?”
“もう少しにゃ。”
“終わったら、兵士を縛って建物の外に連れ出してくれ。”
“了解!”
オレが兵士達を建物の外に連れ出すと、ミサキもローザも兵士達を外に連れてきた。中には片足がないもの、片腕のないもの。失禁してしまっているものもいる。彼女達の凄まじさがわかる。遅れてミレイが出てきた。
「遅くなったにゃ。」
「ミレイにしては珍しいわね。」
「人数が多かったにゃ。」
確かにミレイの連れ出した兵士達は、オレ達よりも多かった。全員が戦意を失っているようだ。オレは、その場に集めた約1000人の兵士達に風魔法で聞かせた。
「よく聞け! このままここで死ぬか、それともオレ達の捕虜になるか選ばせてやろう。オレはなるべく人を殺したくない。お前達にも大切な家族がいるのだろう。よく考えろ! 捕虜になるものは前に出ろ。」
すると、一人また一人と捕虜になるために前に出た。もう、恥も外聞もない。中には泣き出すものまでいる。1000人のうち900人は前に出た。残りの100人は捕虜になることを拒んでいる。
「そうか残念だ。死を選ぶものがいるとはな。」
ミレイが心配そうに話しかけてきた。
「ケン。本当に殺すにゃ?」
「こいつらに今から精神的ダメージを与えるよ。それで降伏しないようならダメだな。」
「なら、任せるにゃ。」
オレは兵士達に向き直って風魔法に載せて、全員に聞こえるように言った。
「お前達よく見ておけ、お前達が大事にしていた人殺しの道具はこのオレが破壊する。」
オレは建物の方を向いた。そして時空魔法を発動する。
『ブラックホール』
すると、建物の上空に黒い渦が発生し、その渦が建物ごとどんどん吸い込んでいく。すべての建物と戦車が黒い渦に吸い込まれなくなってしまった。
「神だ! 神の力だ!」
どことなく声が聞こえ始め、捕虜になることを希望した人々が地面に平伏し始めた。
「お前達の傷は今ここで癒そう!」
『リカバリー』
すると、捕虜を希望する兵士達の体が暖かい光に包まれていき、そして奇跡が起こる。
「おい、足が治ってるぞ————!」
「オレの腕も元通りだ———!」
「神よ! 許し給へ!」
平伏している兵士達がオレを拝み始める。すると、捕虜になることを拒んでいた人間達が、一人また一人と前に出てオレに平伏し始めた。気が付けば、全員がオレに平伏していた。
「ケン。終わったね。」
「ああ。」
「ケン兄。また、ダンテさんのところに連れて行くの?」
「仕方ないな。」
オレは再び大掛かりな転移魔法を使って、捕虜全員を竜人の里に連れて行った。
「ダンテさん。ルミエルさん。また連れてきました。宿舎は足りますか?」
「これだけの人数となると無理ですね。ですが、早急に対処します。」
「ケン殿。私達も全力で頑張ります。これも、新たな帝国のためですから。」
「戦艦にいた人達はどうですか?」
「もう、竜人族の人達と打ち解けていますよ。ともに生活すれば、絆も生まれますから。」
「良かったです。あと、高射砲の基地と航空戦の基地を殲滅すれば終了です。」
「ケン殿。よろしくお願いします。」
「ルミエルさん。本当に変わりましたね。」
「ケン殿に会えてよかったです。」
オレ達は再び戦車のあった広大な場所まで転移で戻った。見渡す限りの平地になっていた。
☆☆☆☆☆
翌日、帝都の城では、再び会議が行われていた。
「軍務卿。わかっているな。お前は貴族位を剝奪だ。今日より奴隷となるがいい。」
「皇帝陛下。ご慈悲を。もう一度チャンスを。」
「この者を連れて行き、奴隷商に引き渡せ! この者の家族全員を奴隷とする! 家財は没収だ!」
「ハッ」
「皇帝————陛下————!!!」
軍務卿は大声で叫んでいるが、ブルータス皇帝はもはや聞く耳を持たない。しばらくして落ち着いた時、ザハト侯爵が進言した。
「皇帝陛下。犯人が分かりました。」
「そうか。どんな奴だ。」
「はい。男1人と女3人です。どうやら、竜人族ではありません。恐らく、ユーラシ大陸のどこかの国のものでしょう。」
「そうか。今どこにいる?」
「私の手のものがペロンの街にいるのを確認しております。」
「そうか。ならば次はサイロンだな。あそこには高射砲があるからな。」
「ですが、なぜ彼らは知っているのでしょうか?」
「わが国の兵士達が捕虜になっているのだぞ! 知らぬわけがあるまい。」
「確かにその通りですな。」
ここで、皇帝ブルータスが全員に言った。
「このブルータスが全軍を率いてサイロンに向かう。全兵士に告げよ。お主達も出陣の準備をせよ!」
「ハッ」
王都に貴族達の兵士、皇帝直属の兵士が次々と集まってくる。その数およそ10万人だ。10隻の飛行部隊も待機している。
「全軍進め—————!!!」
ブルータス皇帝の声で全軍がサイロンに向かって動き始めた。
☆☆☆☆☆☆
今日は大事な日にゃ!
ミレイ姉! どうして?
今日はケンの誕生日にゃ!
なら、お祝いしなくちゃ!
ローザ! ケーキ作るにゃ!
うん!!!




