いざ! 帝国に!
前日、竜人の里の帝国軍を壊滅させた後で祝勝会が行われた。酒を飲んだことのないミレイ、ローザ、ミサキがどうやら飲んだらしい。べろべろに酔っていた。そこで3人を亜空間の家に運んで寝かせた後、酒臭いのが嫌だったので、オレはソファーで寝た。翌朝、ソファーで寝ていると女子3人衆が起きてきた。
「ケン。おはようにゃ。頭が痛いにゃ。」
「おはよう。ケン。頭がガンガンする~!」
「ケン兄。『ヒール』かけて~!」
オレは3人に『ヒール』をかけて竜人の里に向かった。すでに、竜人族と元帝国兵達が広場の片づけを終えて、破壊された家や道路などの修復を始めていた。
「おはようございます。ケン様。」
「おはよう。みんな早いね。」
「ええ、竜人族は睡眠が短いですからね。ルミエルさん達は責任を感じているようで、みんな頑張ってくれていますよ。」
元帝国兵達を見ると、ほとんどの兵士達の首の輪が外れていた。いいことだ。
「ケン殿。おはようございます。」
「ルミエルさん。おはよう。頑張ってくれてますね。」
「ええ、我々の仕業ですから、早く元通りにできるようにみんな頑張ってるんですよ。それより、これからのことですが。」
「これから?」
「そうです。私達は、もう帝国には戻りたくないんですが。」
「でも、家族がいるでしょ?」
「そうなんです。それで相談したかったんです。」
「なら、帝国を住みやすい国にした方がいいんじゃないのかな?」
「ですが、私達は帝国の1師団にすぎません。帝国には私達よりもはるかに多くの兵士達がいます。それに、皇帝の直属の部隊は相当強いですよ。我々にはどうにもできません。」
「オレ達が協力するよ。」
「本当ですか?」
「帝国をこのままにすれば、また侵略してくるでしょ?」
「それは間違いありません。」
「なら、こちらから攻めた方がいいよね。それに、戦争に勝つには、自分の陣地で戦わない方が得策なんだよね。」
「確かにケン様の言う通りですね。ですが、どうやって海を渡るんですか?」
「竜人族の皆さんに運んでもらいますよ。」
「ケン様。是非協力させてください。我々も参加します。」
「いいや。ダンテさん達はオレ達を運んでくれるだけでいいよ。ルミエルさん達はここで待っていてくれるかな?」
「もしかして、ケン殿達だけで行くつもりですか?」
「大勢で行くと目立つしね。それに、オレは一人も犠牲者を出したくないからね。」
「ケン殿~。わ、わ、私は何と小さな男だったのか! あなたを見ていて、私は自分の小ささが恥ずかしいです。」
「そんなことないですよ。ルミエルさんは仲間達から信頼されてるじゃないですか。ルミエルさんのために何とかしたいという仲間達が大勢いますよ。ルミエルさんの人徳ですよ。」
「ありがとうございます。ダンテ殿。私達、全力で復興しますから。」
ルミエルは仲間達のもとに戻っていった。ダンテ達竜人族がドラゴンになり、オレ達はその背中に乗ってオセアン大陸に向かった。オセアン大陸はユーラシ大陸の4分の1ほどの大きさしかない。そのため、ユーラシ大陸にはブラジロン帝国のみが存在する。昔は他の国も存在したようだが、ブラジロン帝国が統一したのだ。
「見えたにゃ。あれがそうにゃ。」
港が見えてきた。そこには大型の戦艦がずらりと並んでいる。
「ダンテさん。人気のない場所に降りてくれませんか?」
「承知した。」
人目につかないように、港から西に数キロメートル離れた場所に降りてもらった。
「ありがとう。ダンテさん。オレ達はこのままブラジロン帝国の帝都に向かうから、気を付けて帰ってくださいね。」
「ケン様達も気を付けてください。」
「ケン兄がいれば大丈夫だよ。ダンテのおじさん。ありがとう。」
オレ達はそのまま海岸沿いを先ほどの港の方に戻る。その前に、ミレイとローザには変装の魔法をかけることにした。ルミエルの話によると、どうやら帝国は人族至上主義であり、獣人族やエルフ族など他の種族は認めないようだ。人族以外は、見つかれば殺されるか、奴隷にされてしまうらしい。
「なんか耳がないと寂しいにゃ。」
「私も私じゃないみたい。ケン兄、どう? おかしくない?」
「ああ、ミレイはミレイだし、ローザはローザさ。姿が変わっても大好きだよ。」
「だ、だ、大好き~?!」
「ねぇ? 私は? 私にも大好きって言って!」
ミサキが頬を膨らませている。
「ミサキも大好きさ。3人とも大事な仲間だからね。」
3人がもじもじしている。なんか可愛い。オレ達が歩いていると、港が近くなったせいか人が多くなってきた。中には軍人らしい人達もいる。
「お前達、ここで何をしている? ここは一般人は立ち入り禁止区域だぞ!」
「ああ、すみません。だから言っただろ! いくら人目につかない場所に行きたいって言ってもここはダメだって。みんなでオレの部屋に行こう。そこなら楽しめるだろ!」
オレはわざとミレイ達を抱き寄せて、イチャイチャするところを見せつけた。
「おい! こんなところでイチャイチャするな! 速く立ち去れ!」
「わかりました!」
オレ達は足早にその場を離れた。
「ケンの部屋に行くの? ケンの部屋で何するの?」
ミサキが顔を赤くして聞いてきた。
「違うから。疑われないようにしただけだから。」
「そうなの? な~んだ。」
ミレイもローザも何故かがっかりしている。
「それより、早く街に行こう。人々の暮らしぶりも知りたいし。」
「ケン! お腹空いたにゃ!」
「ケン兄。帝国のお金持ってるの?」
「ああ。ルミエルさん達にもらったからね。」
「後で倍にして返さないとね。」
「そうだな。」
ケン兄! 疲れてるみたいだけど大丈夫?
休んだりしてたら、読んでくれてる人に申し訳ないからね!
なら、僕が肩もみするにゃ!




