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星の大陸  作者: 羽崎
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『加護を与えること』


 それがこの世界における神へ至るためのただ一つの条件だ。と言っても、俺にはレイチェルの願いを叶えるために奔走した結果のオマケで身につけたものでしかないので、あまり凄いものとは思えない。

 ちなみに、加護の条件は二つ。

 一つはある一定の能力が多くの者に付与されること。

 もう一つは、付与した能力が、付与された者が死ぬまでの間有効であること。

 この二点を満たせば加護だと認定され、それを与えた者を神とする。細かく言えば更に条件などがあるのだが、説明が面倒なのでパス。

 俺は加護を『星』を介して与えている。簡単に言えば、『星』の光を浴びた者(動植物に加え、鉱物も含む。ただし、『星』が浮かんでいる空に住む魚介類は外れる)全てが能力の付与ー加護ーの対象となる。元々、レイチェルの膨大過ぎて有害な影響を与えてしまう魔力を無害なエネルギー、つまりは光に変換して放出する装置だ。無害化したはずの光でここまで影響が出るとは。レイチェル、本当に人類の枠を超えてたんだな。ま、有害ではないからいいだろう。今ではレイチェルも納得しているし。

 加護の内容はファンタジーによくある魔法属性の付与が主だ。

『星』を介する以前の魔法とはどうやら異なる体系に分類されるらしい。そのため、加護を受けた者は俺とレイチェル、あとアザーシュ大陸の古参メンバーが使用する魔法は使えないようだ。本当不思議。

 さて、この『星』なのだが、装置とは言っても殆ど植物に近い。つか、まんま植物だ。品種改良した特別種と言える。

 何故、『星』と言う名前なのかというと、夜間に発光することに加え、この装置は遥か上空で生育させているためだ。

 これは装置に不具合が生じるなどの失敗した場合を考えた時、空の海、蒼海以外に設置場所の候補がなかったためだ。この世界で、レイチェルの魔力を正面から受けても平気な種族って魚介類くらいなものだし。奴ら、地上で最強種である竜種を戯れで瞬殺できるのだ。人間なんてひとたまりもない。召喚されてから神になるまでの間、不動の最も遭遇したくない生物の堂々第一位だった。本当、雨の日とかに雨と一緒に降りてくるのは勘弁して欲しかった。神になった今でも、週一で捕獲するのがやっとの状態だ。毎日とか絶対無理。でも、魚食べたいから頑張る。

 おっといけない。思わず『星』の話題からずれてしまった。

 さて、この『星』は上下逆さまに咲く水草のようなもので、ゴマ粒ほどの大きさの種から成長する。成長したら、種に込められたレイチェルの魔力を消費して花弁が発光し、肉厚の葉が蒼海への光漏れを防ぐ。一つ一つの光は微弱で、とてもじゃないが地上までは届かない。

 何千、何万もの種を蒔くことで地球のような満天の星空が広がったのだ。

『星』の品種改良も継続して行い、より影響を与えないようなものを作ったり、見た目を重視したものを作ったりと、改良への情熱は静かに燃え続けている。

 今回撒きに行くのは、レイチェルが改良したものだ。

 香りを重視したものらしく、花が芽吹く日が楽しみだ。

「マーサ、馬車の用意が出来たそうですし、行きましょう」

 お弁当を片手に、レイチェルが手招きする。格好も、いつもより可愛らしい気がする。かく言う俺自身も、さっきまで衣装やらなんやらに手間をかけているから、いつもよりは凛々しいはずだ。

 もう何千年と共に過ごしてきたが、こういうちょっとしたイベントと言う名のデートを楽しむのも乙なもんだ。

遅れましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。


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