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手段

とある世界の、とある時に。


「大変ですっ! 隣国が勝手に自分ところを『人族』とか名乗りだして我が国を『魔族』とか言い出しました!」

「はぁ!? おまえらも魔族だろって誰かツッコミをいれてこい!」


「世界会議で違法とされた『召喚魔法』を使って、異界人を呼び出したそうですっ!」 

「なにぃ! 異界人といえば、装備無しでジャイアントエルリアンからの渾身の一撃を耐えた上に人差し指だけでヤツを屠るという化け物じゃないか!」


「『勇者』と名付けて我が国を殺せと指令を出したと、スパイからの緊急報告ですっ!」

「なんだって!? 『勇者』って何!?」


「ど、どどどどど、どうしましょう! 『人族』とか言い出したのこれですよ、異界人は自分たちを『人』って言うんです! あと異世界召喚勇者モノが流行ってて『勇者』って憧れの仕事らしいんですよ! 騙されてこっちをホイホイ殺しに来ちゃいますよ!」

「クソッ! 外道なヤツラがっ! 思い通りにされてたまるかっ! 大至急、国民に向けて異界への『出稼ぎ指令』を出せっ!!」


「は!? 出稼ぎ!? なんでですかっ!」

「異界の金を集めて来いっ! こっち側からの移住や帰省は禁止されてないっ! 出稼ぎは可能だ! いいから急げっ!」


「わ、分かりました! そうか、勇者を買収ですね!」

「違う! とにかく良いから金を集めろ!」


***


1時間後。


「大変ですっ! 例の勇者が、我が国へ猛スピードへ移動中です! もう数時間後にこちらに達する勢い!」

「くそっ! 出稼ぎ要員は間に合わん! 後払いの可能性にかけるしかないのか! とにかく至急こちらも異世界召喚を!」

「違法です!」

「他に方法はない! 良いか、勇者に勝つ者を呼び出せっ!」


***


《ご案内申し上げます。スズキ=ショウタくんのお母さんの召喚を成功しました》

「お母さんか! よっしゃ勝てる!」


「えっ! 何ここ!」

「どうか! どうかこの世界を救って下さいっ!」

「お願いいたしますっ!」


「ん!?」

「お宅の息子さんが、こちらの世界に迷い込んでこられまして・・・」

「うぅううううう(涙)」


「え?」

「息子さんのお名前、スズキ=ショウタくんですよね。もうすぐこちらに到着されます、お母さん、どうか無事連れて帰っていただきたいのですっ!! 実はこちらの世界は随分脆くて弱くて・・・スズキ=ショウタくんが駆けるだけで崩れる危険があるほどなんです、信じてください!!」

「実は、すでにお子さんの被害がっ・・・」


「えっ、そうなんですか! なんということ・・・」

「いえ、迷子というのは分かっています、ですからもうとにかくお帰りいただけたらそれでっ」

「どうかどうかぁ!!」


こうして、30分後に到着した勇者を、母の愛が止めた。


「良かった、親子で仲良く帰っていただけた!」

「良かったですぅうう! これで世界も平和です!」


***


ところで。


「先日、出稼ぎ指令を受けて、ここに異世界の金額で30万円集まりました!」

「なんと、まだ出稼ぎをしていたのか?」


「はい。急に辞められると困ると言われた者が多く、それぞれ一段落つくまで働いてから戻ってまいりました」

「なるほど。わが国の民は皆心根が優しく勤勉であるからなぁ。異世界でも重宝されたのだろう」


「えぇ。給金をはずんでもらった者もいたそうです」

「そうか。異世界で苦労したかいがあるな。その金は今後に備えて、国の金庫で保管しておくとしよう・・・」


「大変ですっ! また隣国が性懲りもなく!」

「なにぃ!?」


***


《ご案内です。マエダ=ナオヤの母親の召喚には失敗しました。理由は、母親のいう事を素直に聞かないお年頃です。代わりとして、説得可能な人物を召喚しました》

「相手が誰か分からんがでかした!」


こうして、保管しておいた30万円は魔王へのお支払いに消えた。


***


「母親とお金。この2つがあれば最強だな・・・」

「平和万歳」


こうして魔族と呼ばれた者たちは、異世界で苦労して得た金を活用しつつ、立派に平和を守り続けたという。



   めでたし めでたし

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