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第10話 福は、きっと来るから

招福神社。

そこで、疫病ネコ・ヤックニャンは、厄祓いすることになった。

今までの厄を祓うため。


招福神社の厄祓いのやり方。

それは、修行中の猫巫女が、大鈴ロッドで、希望者の左右の肩をポンポン叩くだけ。


ポンポン…

チリンチリン…


それは、簡単な厄祓い。

「厄祓いが完了したにゃん」

ウインクする猫巫女。

「…ありがとうございましたニャン」

深々と頭を下げるヤックニャン。

まだ人間のことは、大嫌い。

でも、ラムネが美味しかった。

まだ人間のことは、大嫌い。

それは、変わらない。

ただ、何かに頼って、変わればいいな。


「森に帰るニャン…」

疫病ネコ・ヤックニャンは、森に帰っていった。


「疫病ネコ祓いは、できたニャア?」

「…厄祓いはできたにゃん。これしか、できないにゃん」

「修行を続けて、厄祓いを続けるニャア」

大福さまは、猫巫女に期待している。

これからの、招福神社の招き猫として。

厄祓いは、心の中の浄化。

福を呼ぶことは、確実ではない。

猫巫女にできることは、お手伝いなのだから…。


第10話 福は、きっと来るから


招福神社。

今日は、招福祭りの日だ。

人間と猫又でにぎわっている。


「わたあめ美味しーい」

初日ちゃんが大喜びで、わたあめにカプつく。

甘くて美味しい。

お祭りの醍醐味だいごみだ。

「初日さん。焼きトウモロコシも美味しいよ」

隣りには、清原厚美がいる。

恋愛祈願をした女の娘である。

告白は、上手くいかなかったが、深く気にしてはいない。

気にしないようにしている。

「初日。猫巫女は一緒じゃないのかだぜ?」

伊集院くんが、声をかけてきた。

野球部の必勝祈願をしたセレブ少年だ。

あれから、野球部のナインを集めて、御神木にお辞儀をしていた。

野球部の関東大会は、これからだ。

「コミコはね。お祭りのSHOWタイムを担当するのよ」

「SHOWタイム…?」


ドンドンドンドン…


祭り太鼓の音が、深く響き渡る。

ライトアップがあり、御神木の下に、とっておきの紅白巫女服の猫巫女がいた。

手にある、大鈴ロッドを高々とかかげる。

「福は来る来るSHOWタイムにゃん!」


チリンチリン

ドンドン…


チリンチリン

ドンドン…


猫巫女は、大鈴ロッドを振りながら、祭り太鼓に合わせて踊る。舞い踊る。

お祭り客たちは、人間も猫又も、手拍子で盛り上げる。

福よ、来い。

全ての人間に。

全ての猫又に。


「初日ちゃ〜ん」

猫巫女は、SHOWタイムを完了して、飼い主の初日ちゃんに抱きつく。

「頑張ったにゃん。褒めてにゃん!」

「よく、できたわね」

なでなで。

「この勢いで、初日ちゃんの宝くじを当選させるにゃん!」

なでなで。

「そうね。一万円くらいは、当てたいわね」

初日ちゃんは、宝くじが大好きだ。

猫巫女も、笑顔になる。


「あ、あの…ニャ」


茶トラの猫又のトラコが、声をかけてきた。

健康祈願に来た猫又の女の娘である。

「あ、あの、見つけましたニャ。せ、精神病院の通院患者の女性ですニャ」

その後ろには、20代くらいの女性がいる。

「私、落合浩美と言います。精神障害者です」

昔、飼っていたネコがいた。

疫病ネコと呼ばれたネコ…。

「…」

「ヤックニャンを知っています…?」

「し、知ってるにゃん!ヤックニャンは、森の中で、待ってるにゃん!」

猫巫女は、猫手をクイッとする。

森へ。

案内しなくてはいけない。


東猫都。ネコナカヨ市は、架空都市。

人間と猫又が共存する街。

猫又美少女。

猫巫女・コミコの修行は続く。


福は、いつか皆んなの元に降りてくる。

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