3 食堂での会話
一方、門限ぎりぎりで宿舎に到着したリアンたちは夕食を摂るべく食堂に向かった。
宿舎は流石に男女別々の建物になっているが授業や訓練は男女合同で行われる。目指す騎士という職場には男女別行動という仕事は存在しない。有るとすれば近衛騎士になって王族警護に就いた時の一部の仕事だけである。騎士専門学校出身の騎士が近衛騎士になる事はまずない。
王族警護の任務に就けるのは王立貴族学園騎士科を卒業した中・上級貴族の子息・令嬢なのである。
リアンたちが人も疎らになった食堂に行くと先ほど町で見かけた上級生達がすでに席に着いて食事を始めていたが入って来たリアン達に気付いて何人かはリアンたちを睨みつけるように見やった。
そんな事はお構いなしに厨房前の配膳カウンターへと急ぐ。一列になってカウンターに並んでいる定食の乗ったトレーを選んでいく。
早い時間だとおかずをあれこれ選べるのだが終業寸前の食堂の配膳カウンターには残った物を寄せ集めたモノが定食のおかずとしてワンプレートに体よく並べられている。
残り物の寄せ集めなのでプレートによって並んでいる物は様々である。
「あっ、お前のプレート、から揚げ入ってるじゃん」
「良いだろー。早いもん勝ちだぜ」
「あー、俺のはよく見たら嫌いなピーマンの肉詰めだ。
肉は食べたいけどピーマンの臭い移っちゃてるよなぁ?」
「お前の方が一品多くないか?!」
「そっちの方が量が多いからお相子だぜ」
わいわいがやがやと人が殆んどいなくなった食堂の席に着く。
その様子を上級生たちが相変わらず睨みながらし食事をしているのだがそんな視線の事は全く気にも留めず賑やかに食事を始める。
「今度王立貴族学園の騎士科と合同合宿あるだろ? どんな事するのか知ってる奴いる?」
「エドさんが実行委員長やってるやつだろ。リアンなら色々詳しく聞いてるんじゃないのか?」
「 全然。この前 ”どんな事やんの?” って聞いたんだけど
”それは始まってからのお楽しみ” って言って何も教えて貰えなかった」
「エドさんの言う ”お楽しみ” って言うのが全然お楽しみに聞こえないのは俺だけか?」
「いや、楽しそうに聞こえる奴の方がおかしい!」
「きっと訓練ていうより罰ゲームみたいな事やらされるんだぜ」
「生きて帰ってこれるかなぁ?」
「俺達がそんなんだったら他の一年生なんかどうなるんだよ」
「まだ一年なんだからヤバそうな事は先輩たちに譲ればいいんじゃないのか?」
そこまで言って先ほどまでは意に介さなかった三年生の方に揃って視線を向けた。
聞くとは無しに ”合同合宿” とか ”エドさん” という単語が耳に入って来ていた三年の面々は青い顔をするとトレーを持って立ち上がり、リアンたちの方を見ることなく食堂から出て行った。




