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「せん・・・れい・・・」


洗礼の儀式は1週間前に終えた筈



「えぇ、今日は待ちに待った洗礼の儀式でございましょう?皆、エレナ様がどのような魔法に目覚めるのかワクワクしておりますよ」



別のメイドがエレナに水の入ったグラスを向けた



()()、リディア教の洗礼の儀式が行われます。」








(どういう事なの。儀式は確かに終えた。そして私は)




メイドに促されるまま着替え、身支度を整えて廊下を歩く

食卓の間に続く扉の前に立つと、メイドや恭しくその扉を開いた




「エレナ、おはよう」



そこには、見知った家族達がいる

たった1週間会わなかっただけだ


しかし、酷く懐かしく

切なく

苦しく

胸が締め付けられるような感覚があった




「っ・・・」



視界が涙で揺らめくのを止められず

慌てた母が駆け寄ってくるのが見えた



「エレナ!?どうしましたか!?」



パタパタと涙は大粒の水滴となって絨毯に染みをつくり

エレナ自身もとめどなくあふれる涙を止められなかった



あれは夢だったのだろうか?



悲痛な目で自分を見る父も

生気が尽きる寸前のようにゆらめく母も

姿が見えなかった弟達はあの時どうなっていたのか


そして、エレナ自身の首にかかる衝撃とブツリとこと切れたあの生々しい感触も





「お、母様・・・!お母様!!怖いっ!怖いの!」


エレナの取り乱しように母も父も、メイドや騎士達も

その場にいるすべての人間が困惑していた



「洗礼なんて受けたくないっ。いやっ!いやよ!!」


「どうしたというんだエレナ!?」


「何があったの!?」


しゃがみ込むエレナを支えるように父が駆け寄るも

ガタガタと震えるその体をどうすることもできなかった



「殺されるっ・・・洗礼を受けたら私は殺されてしまうの!!」



自分の中に何か確信があった訳ではない

けれど、エレナはそう口に出していた



「そうよっ・・・洗礼を受けたから見つかってしまった・・・」



まるで濁流のように記憶が脳裏を駆け巡る



「私は、洗礼を受けたら殺される・・・そうだわ・・・洗礼を受けたから・・・」







その時、エレナは思い出したのだ










この朝を迎えるのが、すでに10は超えていることを









そして、気が付いた時にはあの女と11回目の対面を果たしていた










「なぁ、エレナよ。我が国の逆賊ヘンリー・アン・ランカスターの罪を知っているか?」












「よし、それではお前は死刑だ」










そして、12回目の朝を迎える

















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