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庭にできた異世界で丸儲け。社畜をやめたい俺が、気づいたらスキルで現実でも成り上がっていた  作者: k-ing☆書籍発売中
第一区画

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58.ただの木ではありません

 しばらく桃乃はコボルト達に回復魔法の中にある解毒魔法をかけ続けた。


「先輩……どうやら私は使い物にならないようです」


 桃乃は今いるコボルト達の治療のために、MP(魔力)使い切って(・・・・・)しまったようだ。


 それだけコボルト達の治療にMP(魔力)が必要だった。


 ここにいるコボルト10体ほどは自動鑑定で見ても狂犬病の文字は消えていた。


 俺もここまで治るとは思っていなかった。桃乃には感謝しかない。


 だが……治療した桃乃に懐いているのは俺としては悲しい限りだ。


 さっきまで桃乃に威嚇していたのに、今は俺よりも桃乃の方が好きらしい。


 こいつらも狂犬病に悩んでいたのかもしれない。


「んー、もふもふ最高」


 遂にお腹を見せて撫でられるぐらいになっている。


「どうせ俺なんて……」


「先輩、コボルトって可愛いですね」


 桃乃はコボルトの体を持ち上げるとビヨーンと伸びていた。おもちみたいな状態になっているコボルトを俺の方に渡して来た。


「ああ、可愛いな」


 気づいたらコボルトに俺は癒されていた。いつのまにか癒され過ぎて時間を忘れるぐらいだった。





 俺は桃乃にズルズルと引っ張られている。せっかくコボルトのお腹に猫吸いならぬ犬吸い(・・・)をしているところを邪魔された。


「先輩、早く行きましょうよー」


「ももちゃんコボルト可愛いぞ?」


「可愛いのはわかってます! 早くトレントを倒さないと残り時間2時間しかないですよ」

 

「あっ……」


 俺達はコボルトと遊んでいて時間を忘れていた。そもそも討伐クエストで何を倒すのかも覚えていないぐらいだ。


「ほら、早く倒さないと私達死ぬかもしれないですよ?」


 ペナルティがわからない今、早く倒さないといけない。それでも金稼ぎよりコボルトに癒しを求めてしまう。


「よし、探しに行こうか」


 俺は立ち上がりトレントがいそうなところに向かう。森にいるはずだが未だに姿を見ていない。


 今回は桃乃の火属性魔法で燃やせば一番楽だが、魔法が使えない段階でそれは無理だろう。森が大火事になってしまうリスクもある。


「そういえば、先輩の自動鑑定でトレントを見抜けないんですか?」


「おっ……おう?」


 俺は桃乃に言われて気づいた。たしかに自動鑑定であれば時間はかかるがトレントを探すことができるだろう。


「それにしてもめちゃくちゃ便利なスキルですね」


「ETF買う時に値下がりしたタイミングだったから、めちゃくちゃお得だったんだ」


 基本的にETFは値下がりしたタイミングで購入しているが、ちょうどタイミングよく購入できたのが通信サービスセクターだ。


 安く変えたETFも現在は1.5倍近く利益が跳ね上がっている。


 スキル自体も便利なため、追加で購入しても良いかもしれない。


「おっと、ポイズンスネークが歓迎してくれているぞ」


「キシャァー!」


 俺は軽く避け、魔刀の鋸をポイズンスネークの体に沿わせて軽く力を入れる。すると簡単に2枚おろしの完成だ。


「こいつこんなに弱かったか?」


 改めて魔刀の鋸の性能に驚いていた。桃乃の魔法ばかりに目を取られていたが、俺の武器も見た目は弱そうだが、性能は強かった。


「よし、どんどん狩っていこうか」


 今まで森を奥深くまで探索したことはなかったため、今回は奥深くまで行くことにした。


 しばらく進むとゴブリンは出てこず、ポイズンスネークばかりが道中によく出て来るようになった。


「それにしても他の魔物はいないんですね?」


「確かに言われてみればそうか……あっ、あいつがトレントだ」


 討伐クエストを行った魔物は出てくるが、他の魔物は一切出て来ない仕組みになっている。


 話をしていると急に木の隣にトレントと表示されていた。


「えっ、どれですか? 全部木ですけど?」


 やはり自動鑑定がないとわからないのだろう。俺から見てもただの木にしか見えない。


「よし、一丁狩ってくるわ」


 俺はそのままトレントに向かって鋸を振りかぶる。だが、木なので簡単には切り落とせない。


「ここはやっぱりこれか?」


 俺は足を肩幅に開き腰を下ろした状態で構えた。魔刀の鋸を使ってトレントを削り倒すことにした。


「おりゃー!」


 俺は勢いよく鋸を左右に動かし、出来る限り力を入れながらとにかく高速で動かす。


「ギィヤアアァァァァ!」


 突然聞こえる叫び声に手で耳を閉じる。声からして目の前にいるトレントが出した声だろう。


「えっ、木って鳴くの!?」


 桃乃も同じことを思っていた。だが、そんなことを思っている余裕はない。


 トレントは地面から根っこを抜くと、急いで逃げようとしていた。


 俺はそのままトレントにしがみつき、最後までトレントの体を切り続ける。


 トレントが倒れる大きな音とともに、視界に映っていたトレント達は去って行く。


「ああ、金が……」


「お金ですか?」


「今トレント達が逃げて行ったぞ」


「えっ、全然気づかなかったです」


 どうやらトレントは逃げ足も早かった。スキルで調べるとやはり木に擬態して捕食する魔物らしい。


 だから存在がバレると隠れながら全力で逃げて行ったのだろう。


 倒したトレントを袋に回収し、クエストの制限時間が近づいてきているため、現実の世界に帰ることにした。

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