59.慧、魔法使いになる
連続で誤更新していました。
こちら続きになっています。
トレントの討伐クエストから、その後も異世界には2回ほど行っている。
1回目はスケルトン、2回目はグールとアンデットが続き、どこかリアルなゾンビゲームのようだった。
場所はトレントがいた森から奥に入ると屋敷があり、そこの周辺にアンデット達は存在していた。ちなみにトレント達は俺の姿をみると逃げ出して行くため、自然と屋敷までの位置は特定しやすくなっていた。
初めは人間に出会えた喜びにテンションが上がっていたが、ゾンビだと気づいた時は発狂ものだった。
俺と桃乃はあまり得意ではない分野に戸惑いつつも、攻撃するとやつらは恐怖のあまり逃げ出した。その辺は人間に近いのだろう。
最後は俺が魔刀の鋸を振り回し、どっちが悪者かわからない状況だった。桃乃と挟み撃ちして逃げるゾンビ達を桃乃が浄化することで無事にクエストは終えた。
基本的に大量に出現するアンデット系は、たくさんの数を一気に討伐することで、自然に討伐報酬が荒稼ぎできる。
ただ、スケルトンの時に気づいたが、死んだ直後にやつらは地面に吸い込まれるように消えてしまうため、基本的にアンデット系は素材を回収できなかった。
【個別株公共事業を20%保持。カテゴリーアクティブスキル木属性魔法を獲得】
そして今回はついに、俺も魔法を手に入れた。個別株で"公共事業"関係を購入したのだ。
桃乃が公共事業のETFを買うことで魔法関係のパッシブスキルを手に入れ、個別株はきっと魔法関係のスキルが手に入ると予想していた。
やっと俺は魔法を手に入れた。前々から桃乃が使う瞬間を見ていて羨ましかったのだ。
使い方は知っていても魔法を覚えていないため、使う機会がなかったのだ。
いつか使いたいと憧れていたため、やっとの思いで手に入れたスキルを早く使いたくて仕方ない。
【今回の討伐対象はキラーアントです。制限時間は24時間です。それでは本日も頑張って家畜のように働きましょう】
毎度のように強い光に目が刺激されるが、今回は大自然の中にいた。
「すげー、大自然だな」
あたりに全く建物はなく、あるのは草木のみだ。
「先輩、魔法は手に入りましたか?」
魔法を手に入れたことを大自然に圧巻されて忘れていた。
「ももちゃんのおかげで手に入れたぞ」
「おー、よかったですね。私も今回ので基本属性だと思われる四大元素魔法全て解放できました」
どうやら、"火属性"、"水属性"、"風属性"、"土属性"が基本属性の魔法らしい。
たしかにスキル: 神光智慧大天使もそれが基本魔法と知識としてはある。
「それで先輩は何の魔法を手に入れたんですか?」
「あー、俺は木属性魔法だったよ」
「木属性魔法ですか?」
「ああ、木属性魔法……木属性魔法?」
俺が手に入れた木属性は基本属性ではないらしい。どこか嫌な予感しかしない。
木属性というぐらいだから、ちゃんとしている魔法だと思っていた。
しかし、スキル: 神光智慧大天使から得た知識は少し異なっている。
――植物に関係するものを操ることができる。
「ぬぉー!!」
俺は思った魔法と違いその場で叫び崩れた。欲しかったのは桃乃みたいな派手な魔法を期待していた。
それが植物に関係する魔法だったのだ。
スコップと鋸を武器として使っている俺はやはり庭や農家が関係している。
異世界に来るたびにニートじゃなくて、農家を目指しているような気がする。
「先輩どうしたんですか?」
急な俺の姿に桃乃は驚いていた。流石に成人男性が崩れ落ちることはないからな。
「俺の魔法はあまり役に立たないようだ」
「先輩、一度使ってみましょう! そしたら何か変わるかも知らないですよ。きっと先輩だから強いですよ」
俺は桃乃に励まされて木属性魔法を使うことにした。そこまで言われたら、本当に強い魔法のような気がする。
俺は意識を集中させていると、頭の中に文字が浮かぶ。
――植物成長
俺が魔法を唱えると光の塊が出現した。
「おお、魔法が出た」
派手な印象はないがやはり魔法が使えるのは良いことだ。実際求めていたのは爆発とビームだが、急に光の塊が見えるだけでも進歩だ。
光の塊はある程度の大きさまで膨れると、風船が弾けるように割れて粒子が飛び散る。
「綺麗ですね」
たしかに派手さはないが、綺麗な魔法だった。
ただただ綺麗な魔法でしかなかった。
「なんで何も起こらないんだ!」
綺麗な魔法だったが、何が起きたのかもわからない。
「先輩、気を取り直してキラーアントを倒しに行きましょう。魔法の適正がなかっただけかもしれないですよ」
桃乃よ……。その言葉は今の俺にとって酷なのに精神をえぐっている。
さすが精神耐性がついて強くなったことはある。
無理やり俺は気を取り直して、キラーアントの討伐に向かうのだった。
周囲の雑草が5cm程度伸びたのに俺達は気づかなかった。そして、その時はまだ木属性魔法の本当の凄さを知ることはなかった。
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