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しぬるいのち いきもやすると 心のみ
藤原興風
しぬるいのち いきもやすると 心のみ 玉のをばかり あはむといはなむ
(巻第十二恋歌二568)
※しぬるいのち:死が迫っていることが確実な命。
※いきもやすると:生き延びることができるかもしれない。
※玉のをばかり:玉に通した緒。短く切れやすいので、はかなさを表現する。
もう死んでしまうような命ですが、もしかすると生き延びるかもしれません。
試しでもかまいません。
ほんの少しの時間でも、逢おうと言葉をかけてくれないでしょうか。
必死にすがりつくような思いを詠む。