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夏の夜の ふすかとすれば ほととぎす
紀貫之
夏の夜の ふすかとすれば ほととぎす なくひとこゑに あくるしののめ
(巻第三夏歌156)
※あくるしののめ:「しののめ」は歌語。「あけぼの」の意味。あけそめる夜明け方。
夏の夜は短い。
横になったと思えば、ホトトギスが一声鳴いて、東の空が明るくなっている。
夏の時期に、窓の近くに寝ていると、午前四時半ぐらいには明るくなってくる。
それで目覚めてしまうことも、しばしばある。
そんな状態で、ホトトギスが鳴けば、ますます起きてしまう。
人間としては、寝不足になり少々辛いところであるが、これも大自然の運行なので、どうにもならない。