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恋すれば わが身は影と なりにけり
よみびとしらず
恋すれば わが身は影と なりにけり さりとて人に そはぬものゆゑ
(巻第十一恋歌一528)
恋をしているので、その苦しさで、私の身体は影のように弱々しくなってしまいました。そうかといって、影のように、あの人に寄り添うこともできやしないのですが。
万葉集巻11-2394に、
「朝影に わが身はなりぬ 玉かぎる ほのかに見えて 去にし子ゆゑ」がある。
恋煩いで弱ってしまって影のように、ゆらゆらと実態のない状態になるけれど、そうかと言って、想い人に近づくことも寄り添うこともできない。
そんな恋の苦しさを詠む。