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なみだがわ 枕ながるる うきねには
よみびとしらず
なみだがわ 枕ながるる うきねには 夢もさだかに 見えずぞありける
(巻第十一恋歌一527)
※なみだがわ:涙が流れてできた川。
※枕ながるるうきね:枕まで流れてしまうような浮(憂き)寝。
あふれる涙が川となり、枕も流れてしまうような浮(憂き)寝では、夢でさえも、しっかりとお逢いできないのです。
篝火に あらぬわが身の なぞもかく 涙の河に うきてもゆらむ
(巻第十一恋歌一529)
篝火でもない私が、なぜに涙の川に浮いて(憂いて)、恋の思いに燃え焦がれているのだろうか。




