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五月雨に 物思ひをれば ほととぎす
寛平の御時のきさいの宮の歌合のうた
紀友則
五月雨に 物思ひをれば ほととぎす 夜深くなきて いづちゆくらむ
(巻第三夏歌153)
寛平の御時の后の宮の歌合にてつかわれた歌。
五月雨が降り続くなか、物思いをしていると、夜遅くになってホトトギスが鳴いて飛び去って行く。
いったい、どちらに飛んで行くのだろうか。
日常生活のなかで気が晴れないのか、あるいは五月雨が続き外出できないから、気が晴れないのか。
そんな日の、夜遅くになってから、ホトトギスは鳴きながら飛んで行く。
ホトトギスの自由気ままを、うらやましく思ったのだろうか。




