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いその神 ふるき宮この ほととぎす
ならのいその神でらにてほととぎすのなくをよめる
※ならのいその神でら:大和国山辺郡石上(現天理市)の良因院。素性法師が住持した寺。
素性法師
いその神 ふるき宮この ほととぎす 声ばかりこそ むかしなりけれ
(巻第三夏歌144)
※いその神 ふるき宮こ:安康天皇や仁賢天皇の宮があった。石上の地名「布留」をかける。
かつての宮殿があった石上では、ホトトギスの鳴き声だけが、昔のままなのです。
人の世は、無常に移り変わる。
しかし、ホトトギスの鳴き声だけは変わらない。
法師らしく、無常観を詠む。




