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ほととぎす なくやさ月の あやめぐさ
よみびとしらず
ほととぎす なくやさ月の あやめぐさ あやめもしらぬ こひもするかな
※郭公 なくやさ月の あやめぐさ:ホトトギスが飛来して鳴く五月に咲くあやめぐさ(菖蒲)。同音の「あやめ」にかかる序詞。
※あやめもしらぬ:物の道理も知らない、理屈に合わない。「あやめ」は「文目」で筋道、あるいは物事の道理。
ホトトギスが飛んで来て鳴く五月に咲くあやめではないけれど、私はあやめも知らない、どうしようもない恋をしているのです。
古今和歌集の恋歌360首の冒頭歌。
さらっと流したような詠み方で、少々の自嘲。
これから、好き者の男が、女を求めて、そぞろ歩きでもするのだろうか。




