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けふのみと 春をおもはぬ 時だにも
亭子院の歌合のはるのはてのうた
※亭子院の歌合:延喜13年3月13日。宇多上皇が自分の御所としていた 亭子院 において開いた 歌合 。
凡河内躬恒
けふのみと 春をおもはぬ 時だにも 立つことやすき 花のかげかは
(巻第二春歌下134)
亭子院の歌合の春のはての歌。
今日限りで春は終わりと思ってはいない時でさえ、花の陰からは、立ち去ることが簡単にできるものでしょうか。
(ましてや、今日は春の最後なので、そんな簡単に立ち去ることなど、無理なのです)
古今和歌集における春歌の最後になる。
過ぎ去る春に、惜別の心を詠む。




