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花ちれる 水のまにまに とめくれば
やよひのつごもりがたに、山をこえけるに、山河より花のながりけるをよめる
清原深養父(清少納言の曽祖父)
花ちれる 水のまにまに とめくれば 山には春も なくなりにけり
(巻第二春歌下129)
三月の晦日ごろ、山越えをした時に、山中の川に花が浮かんで流れているのを見て、詠んだ歌。
花が散る、その水の流れをさかのぼり、花を見ようと来て見ると、山はすでに花だけではない、春も終わっているのです。
山からの川には花が流れているのだから、まだ山には春も花も残っているはず。
しかし、懸命に歩いて来ても、花は咲いなかったことから、春の終わりを嘆く歌。