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やどりして 春の山辺に ねたる夜は
山でらに もうでたりけるによめる
紀貫之
やどりして 春の山辺に ねたる夜は 夢の内にも 花ぞちりける
(巻第二春歌下117)
山寺に参詣した時に詠んだ歌。
宿を取り、春の山のあたりで眠った夜は、夢の中にも、花が散っていたのです。
よほど美しい春の山なのだろうか。
そして、花吹雪を見飽きるほど見た。
または、花吹雪の中を歩いてみた。
その印象が強く、夢の中でも、花が舞い散っていると詠む。
なんとも、素晴らしく幻想的な美しい夢を見たものである。




