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花の色は うつりにけりな いたづらに
小野小町
花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
(巻第二春歌下113)
花の色は、すでに色あせてしまったようです。
この長雨が続いている間に、本当にどうしようもない程に。
百人一首にも採られた歌。
長雨による花の様子の寂しい変化と、小町自身の若い時期と比べての容色の衰えを重ね合わせた歌とされている。
かつては美しさが他人に褒められ、それを自分も喜びとしていただけに、今の衰えを自覚して辛い。
若く美しい娘は、次々に登場して来る。
年を取り、容色が衰えた自分等には、誰も見向きもしない、と嘆く。