古今和歌集から（１）

春ごとに 花のさかりは ありなめど

よみびとしらず

春ごとに　花のさかりは　ありなめど　あひ見む事は　いのちなりけり

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（巻第二春歌下97）

春が訪れるたびに、花の盛りも来るのです。

しかし、それを毎年見られるのも、命があってのことなのです。

春も、花の盛りも、毎年同じように、やって来る。

しかし、それを楽しめるのも、命があってこそ、と詠む。

シンプルで当たり前ではあるけれど、裏には、人の健康や命が、あてにならないことの寂しさも、込められているのではないだろうか。