229/289
ふるさとと なりにしならの みやこにも
ならのみかどの御歌
※ならのみかど:平城天皇。平安京に遷都後、もう一度平城京に都を戻そうと計画。上皇になり「薬子の変」を起こす。しかし、嵯峨天皇に敗れた。
ふるさとと なりにしならの みやこにも 色はかはらず 花はさきけり
(巻第二春歌下90)
すでに旧都となってしまった奈良の都であっても、往時と色は変わらず、花は咲いている。
朝廷の命により、膨大な金と人をつぎ込み、平安京を造営した。
しかし、それでも、旧都を懐かしみ、また遷都しようと戦乱まで起こそうとするのだから、相当に奈良に思い入れがあったことがわかる。
この歌も、その思い入れを、よく反映している。