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さくら花 とくちりぬとも おもほえず
「さくらのごととくちる物はなし」と人のいひければよめる
※とくくちる:あっと言う間に散る。
紀貫之
さくら花 とくちりぬとも おもほえず 人の心ぞ 風も吹きあへぬ
(巻第二春歌下83)
「桜の花のように、あっと言う間に散ってしまう物はない」と人が言ったので、詠んだ歌。
桜の花は、あっという間に散ってしまうとは思いません。
むしろ、人の心こそ、風が吹いただけでも、すぐに移り変わってしまうと思うのですが。
確かに、人間の心のほうがあてにならない、あっと言う間に移り変わってしまうこともある。




