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この里に たびねしぬべし さくら花
よみびとしらず
この里に たびねしぬべし さくら花 ちりのまがひに いへぢわすれて
(巻第二春歌下72)
※たびね:旅寝。家を離れて外で泊まること。尚、万葉集では長い旅路の外泊もあるけれど、古今和歌集では近い距離の気楽な外泊も含まれる。
※まがひ:花や紅葉が盛んに散り、視界までを遮ること。
この里で旅寝をすることになりそうです。
桜の花があまりにも散り乱れているので、我が家に帰る道がわからなくなってしまいました。
桜吹雪の中を歩いているのだろうか。
そんな時は、無粋ではいられない。
そのまま家に帰るなど、考えられない。