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さくらいろに 衣はふかく そめてきむ
紀有朋
※紀有朋:紀友則の父で、879年従五位下、880年没
さくらいろに 衣はふかく そめてきむ 花のちりなむ のちのかたみに
(巻第一春歌上66)
※さくらいろ:「かさね」の色目ではなく、桜の花の色。
衣は桜色に、しっかりと染めて着ることといたしましょう。
桜花が散った後でも、その形見として。
すでに桜も散り際になっているのだろうか。
それを惜しみ、衣を桜色に染めて、形見として偲ぼうと詠む。
尚、梅は香り、桜は色が中心に詠まれる。