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けふこずは あすは雪とぞ ふりなまし
返し
在原業平
けふこずは あすは雪とぞ ふりなまし きえずはありとも 花と見ましや
(巻第一春歌上63)
前の歌の返し
今日来なかったとしたら、明日は雪が降って散ってしまったことでしょう。
もし、消えずに残っていたとしても、雪が積もってしまって花と見ることができるでしょうか。
前の歌は、
あだなりと なにこそたてれ 桜花 年にまれなる 人もまちけり
(巻第一春歌上62)
貴方は浮気者で有名なのですが、この桜の花は、一年のうちに稀にしか来ない人としても、待っているのです。
と、いうもの。
業平としては、せっかく来たのだから、そういう皮肉を言わないで欲しい、明日は雪になるかもしれないのだから、と皮肉で返す。
 




