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春ごとに ながるる河を 花と見て
水のほとりに梅の花さけりけるをよめる
伊勢
春ごとに ながるる河を 花と見て らられぬ水に 袖やぬれらむ
(巻第一春歌上43)
水辺に梅の花がさいているのを見て詠んだ歌。
春が来るたびに、川の流れに映る梅の花を本物の梅と見て、折ることなどできない水に袖を濡らしてしまうのでしょうか。
水面に映る梅の枝を折ろうとするのだろうか、それで袖を濡らす。
普通に考えれば、あり得ないので、座興の歌と思う。
「伊勢集」によると、宇多上皇の京極殿で、花の宴を催した時の作とされている。




