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あさみどり いとよりかけて しらつゆを
西大寺のほとりの柳をよめる
※西大寺:平安京朱雀大路羅城門の西にあった寺(現存せず)。西寺。現在の東寺と一対になっていた。
僧正遍照
※桓武天皇皇子良岑安世の子。蔵人頭までなったけれど、仁明天皇崩御のため出家。
あさみどり いとよりかけて しらつゆを たまにもぬける 春の柳か
(巻第一春歌上27)
春の柳は、浅緑色の糸を縒って枝にかけ、白露を玉としているのです。
浅緑の柳の枝が長く伸び、その枝に白露が玉となって光っている。
単なる自然現象を見逃さず、絵画的な春の美を詠んでいる。




