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わがせこが 衣はるさめ ふるごとに
「歌たてまつれ」とおほせられし時によみたてまつれる
紀貫之
わがせこが 衣はるさめ ふるごとに のべのみどりぞ いろまさりける
(巻第一春歌上25)
※わがせこが衣:「せこ」は女性が夫や兄弟にかける親しみの言葉。衣をといて洗い張る意味で、「春」にかかる序詞になる。
天皇が、「歌を奉れ」とおおせられた時に、詠んで奉った歌。
春雨が降るごとに、野辺の草木の緑色が濃くなるのです。
季節が変わる時期は、衣替えの時期。
衣を洗い張ると、春雨が上手にかかり、さすが貫之の技術を感じさせる。




