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かすがのは けふはなやきそ わか草の
よみびとしらず
かすがのは けふはなやきそ わか草の つまもこもれり 我もこもれり
(巻第一春歌上17)
※かすがの:春日野。奈良公園内、春日山のふもと。
※わか草の:つまの枕詞。
※こもれり:春の野遊びの際に、人目をさけてどこかに潜む。古代において野遊びは求婚の行事。
春日野は、今日だけは野焼きをしないで欲しい。
妻と私がこもっているのだから。
春日野とか野焼きをするな、ではなくて、我が恋路の邪魔をするな、との意味だろう。
宴会での戯れ歌としては、面白い。




