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谷風に とくる氷の ひまごとに
寛平の御時后宮の歌合の歌
※宇多天皇御代、七条后温子の歌合。
源当純
※源当純:生没年不詳。右大臣源能有の五男で 896年従五位下、907年従五位上。古今和歌集に採られているのはこの一首のみ
谷風に とくる氷の ひまごとに うち出づる波や 春の初花
(巻第一春歌上12)
谷間に吹く風で解ける氷のすき間ごとに、波がほとばしり出ています。
あの波が、春の初花なのでしょうか。
谷間を吹く風が氷が割り、そこから顔を出す水の様子を 「初花」に譬えている。
「うち出づる」の表現に、新鮮な響きも感じる。




