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春立てば 花と見ゆらむ 白雪の
雪の木にふりかかれるをよめる
素性法師
春立てば 花と見ゆらむ 白雪の かかれる枝に うぐひすぞなく
(巻第一春歌上6)
春になったので、花とでも見ているのだろう。
白雪が降りかかった梅の枝で、ウグイスが鳴いている。
ウグイスの目には、白雪が梅の花に見えているのだろう、と面白がる。
※素性法師:俗名良岑玄利。左近将監であったけれど、父遍照僧正が強いて法師とした。
醍醐天皇からも寵遇を受けたようで、延喜九年(909)、御前に召されて屏風歌を書くなどしている。
三十六歌仙の一人。古今和歌集には三十六首入集。




