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わがまたぬ 年はきぬれど 冬草の
物へまかりける人をまちてしはすのつごもりによめる
凡河内躬恒
わがまたぬ 年はきぬれど 冬草の かれにし人は おとづれもせず
(巻第六冬歌338)
※冬草の:枯れるの意味。離れる(かれる)との掛詞。
※かれにし人:
ある所に出向いた人が帰るのを待ち続け、十二月の末日に詠んだ歌。
私が待ってもいない新年が、すぐに来ようとしているにもかかわらず、別れて出て行った人からは、何の音沙汰もありません。
新年を一緒に過ごすことを楽しみにしていたのだろうか。
何の音沙汰もないことから、焦りと残念さが、増している。




