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梅のかの ふりおける雪に まがひせば
雪のうちの梅の花をよめる
紀貫之
梅のかの ふりおける雪に まがひせば たれかことごと わきてをらまし
(巻第六冬歌336)
※梅のか:梅の香り
梅の香りが、降り積もった雪に混じってしまったなら、いったい誰が梅と雪を区別して折ることができるのでしょうか。
白雪と白梅の花でさえ、区別が難しい。
そのうえに、梅の芳香まで白雪に移ってしまえば、ますます区別がつかなくなる。
美しい白雪、白梅、そして梅の芳香を全て楽しむ。
区別も序列もつけず、一体として楽しもう、そんな歌意と思う。




