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ふゆごもり 思ひかけぬを このまより
雪の木にふりかかりけるをよめる
紀貫之
ふゆごもり 思ひかけぬを このまより 花と見るまで 雪ぞふりける
(巻第六冬歌331)
※このまより:木の間より。木の間からなので、降る白雪を花と見る。
この冬ごもりの時期、じっとしていたら思いもかけないのに、木々の間から花と見えるほどに、雪が降っているのです。
実際は万物の動きが止まるような時期、特に木々は冬枯れで葉が無いのに、雪が降り花のように見えてしまう。
寒く辛い時期ではあるけれど、雪を花と見ることで、少しでも楽しみを感じたいのだろうか。
「面白くない時期だから、何とかしろ」と上司に言われて、貫之が無理やり詠んだような歌に思う。




