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冬ながら そらより花の ちりくるは
ゆきのふりけるをよみける
清原深養父
冬ながら そらより花の ちりくるは 雲のあなたは 春にやあらなむ
(巻第六冬歌330)
真冬であるのに、空から花が散り降って来るということは、雲の向こうは春なのでしょうか。
降り散って来る花は、実際は雪。
この冷たい雪は冬の花。
しかし、花を散らして来るのだから、その大元の雲の向こうは春なのでは?と寒さを打ち消す(実際には無理だけれど)ような歌を詠む。
寒く雪が降る日に、何とか一矢報いたい、そんな歌のような気がする。




