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白雪の ふりてつもれる 山ざとは
白雪の ふりてつもれる 山ざとは すむ人さへや 思ひきゆらむ
(巻第六冬歌328)
白雪が降り積もる深い山里では、そこに住む人でさえ、消え入るような寂しい思いでいるのだろうか。
人が住む都から離れ、ほとんど人がいない深い山里に隠棲する。
大雪になれば、全てのものが、覆いつくされてしまう。
隠棲されたとはいえ、実は、寂しくはないだろうか。
当の隠棲者からすれば、「私が望んだこと、大きなお世話」かもしれない。
しかし、その隠棲者に好感を持つ人からすれば、心配で仕方がないのである。




