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雪ふれば 冬ごもりせる 草も木も
紀貫之
雪ふれば 冬ごもりせる 草も木も 春にしられぬ 花ぞさきける
(巻第六冬歌323)
雪が降ると、冬ごもりをしている草や木には、春には見ることがない花が咲くのです。
つまり、雪を「花」と見立てて、「春に知られぬ」とする。
(木の枝や庭に散り積もった雪を、花と見る)
わかりやすいけれど、淡泊な歌にも感じる。
ただ、目の前の木の枝や庭に散り積もった雪を、花と見ただけなのだから。
ただ、あまりひねり過ぎず、サラッと詠むのも、紀貫之の特徴の一つ。




