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夢にだに あふことかたく なりゆくは
よみびとしらず
夢にだに あふことかたく なりゆくは 我や寝を寝ぬ 人や忘るる
(巻第十五恋歌五767)
※寝を寝:眠る。
夢の中でさえ、逢うことが難しくなっているのは、私がその辛さゆえに、眠れないからなのでしょうか、それとも、すでにあの人から忘れ去られてしまったからなのでしょうか。
古代日本は、(現代とは逆に)相手が自分を思っていれば、自分の夢に相手が出て来ると信じられていた。
その夢に相手が出て来ないのが辛く、それで眠れない。
そして相手から、すでに忘れ去られたと、悲しむ。
恋煩いの名歌と思う。




