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プロローグ 止まらない野心

第三章の宣伝みたいなものです。

短いですが、ご了承ください。

 リニエスタ王国は今、大きな内乱が起きていた。

 王族、貴族に対して反抗を示す反乱軍。

 王族、貴族が主導する王国軍。

 その二つの旗は今も激闘を繰り広げており今もまた新しい戦が生まれようとしていた。


「ありがとうございます、メル殿」

「こ、こちらこそ、ありがとございますマルゼン様」


 互いに握手し会談は終わる。

 がっしりとした体格のマルゼンはメルよりも身長が高く黄色い瞳がメルを見下ろす形。

 両肩にある勲章や肩パットは彼を大きく威圧的に見せる。

 長くカールした金髪が優雅に揺れた。


 片や豪華とはいないまでも綺麗な、似合った服を着る少女は黄金の瞳で見上げながらも凛とした瞳を向ける。

 宝石など己を飾るのは必要最低限、否。

 宝石が飾られていると表現しよう。

 腰まで届く金髪を華麗に美しく光らせるそれは迷う瞳のように揺れた。


「以上で二者会談を終了させてもらいます」

「というわけじゃ、書類に同意のサインを願いするぞ」


 互いの副官。

 眼鏡を掛けた細身の男と黒と赤の和服を着たベガは会談の終了を宣言した。




「やはり、直接的な手ではダメでしたね」

「当然だろう」


 勲章を見せながら風を切る様にマルゼンは歩く。

 その後ろ、眼鏡を掛けた細身のダリルが遅れて急いで歩幅を合わせて歩く。

 長い石畳の廊下はかび臭い匂いを残しながら午後の太陽が照らす。


「緊急会議を出汁に砦の支配権をもらおうとしたのですがね……」


 そう呟く副官の男はソサエクスからメルに宛てた手紙を思い出す。

 その間だけでも支配権をもらおうとしたのだ。

 今現在、砦を支配しているのはメルであり短期間ながらでも砦の支配権を得るのは自分たちの力を砦の者たちに誇示するためとマルゼン派という派閥を作るためでもあった。

 この軍事拠点は今も多大な系協力を与えており、この砦を所有する反乱軍が少し優勢という見方もできるほど重要な場所だ。それは誰もが手に入れたがる拠点であり、こと中立派でもその意見に相違はなかった。

 とはいえ、それは失敗に終わる。


「仕方なかろう。こちらは中立派貴族でソサエクス殿が“直接目をかけている”重要拠点だ。そのことをあの副官は理解しているようだったぞ?」

「……ああ、あの懐刀兼参謀の……」


 威圧的に砦の支配権を奪おうとしたマルゼンであったが。

 ベガはソサエクスの名前を出してこちらをけん制していたのだった。

 彼らは”今のところ”反乱軍に加担している身である。それ故にソサエクスの言葉に逆らうことが出来ない。


「何者でしょうか……?」

「平民の出ではないのは確かだ。他にもグッテンバルグやハーフエルフの集落でも活躍したと聞いているが……」


 そのことに関してはある程度のデマ、誇張が流れており真相のほどは分からない。

 けれども、ソサエクスが心変わりするほど度肝を抜いたと言うのは本当であり彼の変わりようを見れば理解できる。


「ともあれ、油断が出来ないのはメーテル様……ですね」

「ふむ」


 マルゼンたちが砦の支配権について口を出したのはメルを侮っていたと言う理由が最もだろう。戦う意思のないものは武器や軍事を嫌い手放すのは容易に想像できる話。

 例え副官が支配権について口出ししたとしても最後に決めるのは“メル”なのだ。

 つまり正しく、メルは手放さなかったということ。


「戦う意思があると言うことですね」

「意志だけでは戦争はできぬよ。だが……」


 廊下を歩くマルゼンはチラリと窓から中庭を覗く。

 教会や劇場、訓練所を兼ねるそこを楽しそうに兵士たちが歩いていた。

 戦時中でありながらも彼らの士気は高く、規律違反による衝突は少ないように見えた。


「英雄姫の劇は面白かったぞ!」

「囚人たちも中々いい演技をしている……」

「はあ、はあ。次の宣教(ライブ)はいつかな?」


 そんな声が廊下の中にまで聞こえてくる。

 マルゼンはそれを見て鼻を鳴らす。


「士気の維持は戦時に置いて重要な要素だ。それを考慮するにメーテルは軍人として才能があるやもしれぬ」

「……」


 マルゼンは廊下を再び歩む。

 有能すぎる者は敵からも味方からも嫌われるのが世の常であるが、彼らは未だにメルの才能を測りきっていなかった。これがどう化けるのかは分からないがそれでも今の所はそれを気にすることはない。

 とは言え――。


「策謀についてはいささか不得意ではあるようだな」

「……はい」


 答えた副官の男の眼鏡が光る。

 その手に持つのは一枚の書類。

 内容は。

 1、鉱山都市ソルムード侵攻の補助。

 2、進行が成功した際ソルムードの自治権はマルゼン辺境伯に一任。

 3、従者イナバを副官として戦場に派遣であった。


「補助に対しての具体的な内容は騎士兵千人の派遣です。それと軍旗の授与です」

「授与か……」

「形式上です……。士気向上の意味と敵兵に対しての畏怖が狙いだそうです」

「そうか……。ならば問題無しだな」


 確認するように二人の会話は続く。

 鉱山都市ソルムードに関してメルとベガはその重要性を理解していないように見える。

 彼らはこの提案が呑まれるとは“思っていなかった”のだ。

 堂々とマルゼンは廊下を歩く。


「リニエスタの武器庫……。それを中立派である我らが手に入れたとなると……」

「結果は言うまでもないでしょう。最も財を集めこの戦争の支配権を得る。その中でも最も功績を上げたマルゼン様が中立派の中心となり――


――王となる」


 キラリとマルゼンの肩にある勲章が揺れる。


「我の覇道は始まったばかり……この戦で全てが決まる」


 マルゼン辺境伯は中立派に属する武闘派の貴族であった。

 今は乱世の世であり、彼の野心を止めることは誰もできなかった。


次の更新は一カ月後くらいになるかも……。

まだ全然できていないのでアウトロールの方を更新たいと思います。

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