表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/443

エルフと暗殺者の火花

情景を皆さんに伝えきれたら幸いです。

 監獄の中庭は兵士300人が入り乱れていた。

 進行する兵は砦の頂上にある作戦本部を目指して、防衛する兵士は敵の排除を目指して戦っている。


「このおおおお!」

「ぐほおあああ!!」


 背中を突き刺し、紅い血を吹く。

 驚き、命を奪ったものを見る間もなく事切れる。


「はぁ、はぁ。ぐむ!」


 そして突き刺した兵士もまた側面から矢を射抜かれ絶命する。

 疲れによる油断、攻撃した後の油断、そういった一瞬のスキが乱戦では命を落とす要因となる。

 それはこの場にいる者なら誰もが知っていることであり、そう言ったものから狙うのが常識的であり賢いやり方だ。

 では、彼らの場合はどうだろうか?


「シュタイヤ様!援護します!」


 一人の兵士がグリンロードに向けて矢を放つ。

 完全な死角からの一撃であり普通の兵士では避けることは不可能なそれ。

 一対一に集中していれば確実にあたる攻撃を“彼ら”ならば見ることもなく――


 ――躱すのだ。


「な!」


 驚く兵士は周りに明らかなスキを見せる。

 驚愕と攻撃したことによる守りへの移行は遅く。

 敵兵に首元を突き刺されて死ぬ。


「俺の手柄だ!」


 剣を持った一般兵がシュタイヤの背後から迫る。

 大きな男で硬い鎧に包まれている彼をシュタイヤは見ることもなく――


「は?」


 無詠唱によるシュタイヤの魔法。

 男は見向きもされないシュタイヤによって爆発四散する。

 力ないものから見たら明らかなるスキである。

 だが、力持つものならば彼らに隙などないことは理解している。

 故に戦場には二人だけの空白地帯が生まれた。


「そろそろ、いいですかね?」

「……」


 シュタイヤの問いにグリンロードは無言で答える。

 二人の距離は数十メートル離れた距離。


 辛うじて細かい仕草を見えるその距離から――灼熱の鞭が振るわれる。


「〈炎を燃やす(フレイムバーン)〉」


 杖が紅く光り、シュタイヤの持つ細剣に付与される。

 振るうそれは範囲攻撃であり人の命をたやすく燃やしつくす暴力的な熱さと光。

 一見無防備に立っているように見えるグリンロードへと放つ。


「遅い!」


 その範囲攻撃はグリンロードが振るう短剣により防がれる。

 その場から動かず鞭を切り裂く短剣は刀身が紅く発熱し、炎の残照はグリンロードの頬を漂う。

 防がれた攻撃、それはグリンロードだからこそできた芸当であり、その実は後ろにいる兵士を巻き込んでの攻撃。

 更に兵士たちは下がる。

 手番はグリンロードへと移り、左腕を肩の高さまであげる。


「〈ダーティーハンド〉」


 グリンロードは左手に着けている手袋の魔法攻撃を発動させる。

 普通の人間が見たらただの紫色の手袋。

 しかしそれは強力な魔法が込められている一級品だった。

 手袋に青紫色の液体が染み、振りかぶった腕を思いきり振る。


「やりますね」


 放たれる青紫色の水滴をシュタイヤは風魔法で防ぐ。

 水滴は月の光を浴び妖艶な色になり刺激臭が風に乗り戦場へと運ばれる。

 無傷で済んだのはシュタイヤが風魔法を使えるから。巻き込まれた兵士はその顔の半分が溶けていた。

兵士は遠ざかる。


「〈ブラスト〉」

「〈シャドウタイム〉」


 シュタイヤを中心に爆発が起き、黒くなったグリンロードは闇へと溶ける。

 そして次の瞬間には何故か金属が交わる音が聞こえる。

 吹き飛ばされるシュタイヤ。

 彼は即座に風魔法を発動、体勢を立て直したのちに、左手の杖を振り下ろす。


 地面から巨大な樹の幹が――否、氷柱が生える。

 そしてそれは即座に粉々、切り刻まれ破片の雪が降る。


 破片が鏡のように月と無表情の彼らの表情を映す。


「〈フレイムボール〉」

「〈クリティカルスロー〉」


「〈ファイヤーレイン〉」

「〈影抜き〉」


「〈マーダーインク〉」

「〈風の大竜巻〉」


 炎の玉と白く光る投げナイフが。

 火の雨が降る夜と歩む影が。

 紅いペンキのような斬撃と人工の竜巻が―――


 火花を散らした。




「ほ、本当に皆さんが戦って下さるのですか?」

「勿論ですメル様。私たちは既にあなたたちの軍門に下っていたのですから」


 砦の影は月の光が届かず、完全な闇だった。

 吹く風も砦に邪魔され無風である。


「メル様、このものが最後のようです」


 梯子を下りた彼らは武器の点検と神への祈りを口にする。

 メルが集めた者たちは完全にどの軍にも所属していない――いや、数に数えられていない者たちだった。


 王国軍にとっては戦利品であり、反乱軍にとっては荷物である。

 その認識はこの戦場にいる誰もが抱いていること。 

 しかし、メルは違う。故に彼らは伏兵となった。


「作戦は至って単純。砦の前に回り込み――


――包囲殲滅することです!」


 戦場の勝敗を決めるのは正しくメルの作戦であった。

 雄たけびを上げるのはこれから死にゆく者たち、さりとて怯える者はおらずメルの勇気に当てられた勇気を持つ囚人たちだった。




漫画やアニメの戦闘シーンを書ければなと考えています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ