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オレたちが来た世界は、未来の終わりを知っている。  作者: kazuha
〜第11章〜〈はじまりは勇者の導き〉
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『この世界は終わりを知っている』



 5つの光が、いや選ばれた者達が壊れかけた世界を修復していく。

 空は晴れ、海は静寂を鳴らし、大地は傷を隠していく。


『いやぁ、死んでもこき使われるなんてね』

『老体にはちときついの』

『ふふ、わらわは楽しかったぞよ』


 疲れ果てて倒れている3人の側で楽しく会話を始めるそのもの達は、役目を終え次第に消えて行く。


『かおりお姉ちゃん!』


 最後にと近づいてきた幼い娘はかおりに抱きついた。


「ちょっ!!」


 その勢いに耐えきれず後ろに倒れてしまう。

 それでも、彼女の温もりをいっぱいに貰っていく。

 母性が働くとはこういうことなのだろう。彼女は抱き返し、その頭を撫でた。



『なぁ、槇?』

「なんだよ」

『……わらわとあの小娘、どっちが好きなんじゃ?』

「っ!!!」


 その目をかっぴらいて質問者を睨んだ。


『……愛いやつよの』


 バカにした目が槇に向けられる。


『自分の心に素直になった方が、よいぞよ』


 彼女は振り返り、そして消えていった。



『さて、そろそろ時間みたいだね』



 ティエルが3人の目の前に現れた。

 それと同時に五宝珠は輝きを失い砕けて消えた。



「なんか……、これでよかったのか?」



 康貴が口にする。



「結局、この世界が無くならないだけで、なにもかも失った感じに思うんだけど」



 的確だった。この国を守っていた軍は壊滅。自然は戻ったが、殆どの町は致命的なダメージを受けただろう。こんな状態で、この国は何が出来るのだろう。



「たしかに……そうだな」



 まるで彼女はこの国の終わりを知っていたかのように、にこやかな笑顔で返した。



『それは、君たちが考える必要のないことだよ。君たちがやらなければいけないことはここまで。これ以降は残った人たちが作っていく』

「まぁ、そうかもしれねぇけどさ」



 槇も不満を口にした。



「オレ達が来た意味があったのか?」



 空を見上げて呟く。



「全部壊していくだけの勇者って斬新な感じする」

「なんか、それ言われると悲しくなってきた」



 自分たちが残したものなんて何かあったのだろうか。

 知っている人たちは、ほぼ皆死んでいった。



『そう、落ち込むな。これでも1番よかった未来だよ』

「これでかよ。ってか、未来予知できるの?」

『……なんども繰り返した。この日々を』



 彼女はそう呟き手を前に出した。



『そろそろ、ボクが時間だよ。その前に君たちを元の場所に……』

「ちょっ! 勝手に!」


『…………勝手さ。君たちが来たこの世界は、この世界の終わりを知っている』

「意味わかんねぇよ!」

『それが、このあとすぐさ』

「はぁ!?」



 その瞬間どこかで爆発する音がした。



『はじまった』

「待てよ! なんだよこれ!」

『だから言っただろ。ここからは、君たちの力が必要の無い世界』

「そんなこと言ったって! 少しくらい手伝わせろよ!」

『ダメ。君たち死んじゃうから』



 指を鳴らす。すると3人はあとかたもなく消えていった。そこには誰もいなかったかのように。



『ありがとう。とても助かったよ。またどこかで会おうね。きっと会えるさ』



 中央はなんの前触れもなく巨大な爆発を起こす。火の海と化し辺りに生を見出すことが出来ない。



『さぁて、最後の仕事だよ』

『あ、ティエル……』

『本当に会えたわね』

『いひひ。寂しかったんだぞ!』

『なにが寂しいだ。自ら先に行きやがって』

『そんなことはあとだ』

『そうそう。さっさと、見つけに行かないと。精霊に認められた4人を……』

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