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銀の怪盗は真夜中に覚醒する  作者: 黒瀬 蓮
帰れない

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28/66

図星と代償

「……クロノス……?」


背中に汗が滲む。圧倒的な威圧感。


挿絵(By みてみん)


クロノスは、後ろを向き、何かぶつぶつ言っている。


「……クロノス?」


耳を澄ますと


……俺のエビフライ……

とっておきのエビフライ……


(まさか、このおっさん……)


「ただのコミュ障か……?」


思わず呟く。


クロノスの眼光が光る。


「……はは……俺、声に出てた?」


視線を逸らし、笑って済まそうとする。


「………ははは……わりぃ」


頭をかく。


クロノスが、その場にしゃがみ込む。  


ちらっとこちらを見ながらクロノスが呟く。


「……なぜ、わかった?」


「……は?」


「……何が?」


クロノスを見る。


身体が震えている?


「……もしかして、図星?」


「…………」


何とも言えない空気感。


(この風貌で?)


(ダメだ……顔がニヤける)


「……プッ……はははっ」


耐えきれずに笑う。


静かにクロノスが呟く。


「……笑うな」


「……わりぃ……恩人に対して失礼だよな」


頭を下げる。


「……ほんとに助かった!」


「ありがとう……クロノス!」


「……その、全部食べちゃって……ごめんな」


手を顔の前に合わせて必死に謝る。


「……美味かったか?」


クロノスは静かに言う。


顔を上げて、クロノスを見る。


「……ああ、めちゃくちゃ美味かった」


思わず笑顔が溢れた。


ログチーがこそっと呟く。


「シルバーがいつもこの顔なら、女の子がほっとかないのにね」


クスクスと笑う。


「……うっせぇ!」


ログチーを手で捕まえる。


バタバタもがくログチー。


傍目に見ながら、クロノスが何かを持ってくる。


小さな箱。


クロノスは無言で、それを差し出す。


「……」


(何か言えよ!顔怖ぇよ!)


恐る恐る聞いてみる。


「……何?これ?」


「……」


(開けろってことか?)


箱の中には小さな黒いピアスが一つ。


クロノスの顔を見る。


「……クロノス……俺、ピアス開けてないし」


「……せっかくで悪いんだけどさ?」


チラッとクロノスを見る。


後ろを向き、何かを探している。


そっと後ろから覗こうとすると、


クロノスがいきなり振り返る。


ログチーが驚いて、俺の顔に貼り付く。


「うわあああああっ」


「……っ!」


隙間から、クロノスの手を見ると


裁縫箱の奥に眠っていたような

錆びかけの物騒な針を握っている。


まさか⸻?


顔からログチーを引き剥がす間もないまま

クロノスが不気味に迫ってくる。


針を焼いたのか、焦げ臭い匂いがする。


「……嘘だろ……?」


クロノスの目が光る。


大きく首を振り、全身で拒否をする。


「……いやいやいやいやいや」


「……じっとしろ」


「……手元が狂う」


「……待て待て!普通はピアッサーとかじゃ?」


背中に汗が滲む。


(マジかよ、ヤバい、これ絶対ヤバい)


クロノスの威圧感なのか、身体が動かない。


その時⸻


クロノスが、俺の左耳に手元の針を貫いた。


「……いってぇー!!!」


俺の悲鳴だけが、静かな店内に響いた。


クロノスは、満足そうに——

不気味に微笑んでいた。


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